つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2007年1月30日 衆議院本会議

2007.1.30

議事録

166-衆-本会議-4号 平成19年01月30日

辻元清美君

社会民主党の辻元清美です。

私は、社会民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説に対して質問をいたします。(拍手)

私は、今、女性国会議員として、本当に情けない気持ちでここに立っております。それは、柳澤厚生労働大臣の、女性は産む機械、装置という発言のためです。

大臣はこうおっしゃいました。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないとおっしゃったようなんです。

柳澤大臣にまずお伺いしたいと思います。

子供を産まない、産めない女性は、大臣の発想によれば、役に立たない機械なんでしょうか。

女性だけではなく、人間を物扱いにすることは、どんなときでも許されることではありません。女性は、産めよふやせよの道具ではありません。この発言は、男女共同参画社会基本法の女性の性と生殖の自己決定権や国連の女性差別撤廃条約に照らしても、明らかに反しています。

失言には本音が出ます。残念ながら、柳澤大臣は少子化も担当する大臣にはふさわしくなかったようです。私は、すべての女性を代表して、柳澤大臣の辞任を求めます。大臣、この場で潔いお答えをいただきたいと思います。男性の皆さん、賛同していただけないんですか。(拍手)

輪をかけて情けないのは、安倍総理が注意だけで済むと認識されていることです。総理の人権意識はこのようなものだったのでしょうか。欧米などでは、即刻罷免だと思います。早く対処しないと、国際的に恥ですよ。これが美しい国創り内閣の姿なのでしょうか。

総理も問われています。総理は毅然という言葉がお好きのようですけれども、毅然として罷免すべきだと思います。凜とした総理の答弁を求めたいと思います。

さて、総理の施政……(発言する者あり)今、やじ飛ばしてはりますけれども、これは深刻な問題ですよ。しっかり皆さんお考えになった方がいいと思います。

さて、総理の施政方針演説をお聞きしましたが、格差社会という言葉もワーキングプアという言葉も、一切出てきませんでした。一体、総理はどこを向いていらっしゃるのでしょうか。

また、総理はことしの初め、日本人は少し働き過ぎではないかと発言しました。とんでもない。少しどころか、物すごく働き過ぎだと思います。それは、そうしないとやっていけないからだと思うんです。働き盛りの四人に一人は、月に八十時間以上の残業で、これは過労死認定がされるほどのオーバーワークです。総理はこの実態を御存じなかったのでしょうか。

また、総理は、残業代不払い法案ができたら、残業が減り、家で過ごす時間がふえて少子化対策になるとも発言しました。本気でこのようにお考えだったのでしょうか。私は、世間知らずではないかと思いました。

総理は、施政方針演説で、時間外労働を抑制するための取り組みを強化すると発言しています。まさか、ホワイトカラーエグゼンプション、残業代不払い法案のことではないでしょうね。この取り組みが何なのか、具体的に説明を求めます。

今は、働いても働いても給料はふえません。大手企業は潤い、約五年間で株主配当は約三倍、役員報酬は二倍近くにふえています。しかし、従業員一人当たりの給料は逆に減っているのです。

なぜ、企業はもうかっているのに給料は減っているのか。ここで、だれにでもわかるように総理に説明をしていただきたいと思います。

また、パート労働賃金は正社員の約六割にすぎません。社民党は、すべてのパート労働者の差別を禁止して、同一価値労働同一賃金の実現をずっと言い続けてきました。

今回の政府の改善策は、パートの一部の人たちにしか光が当てられておりません。なぜ、すべてのパート労働者を対象にしなかったのか、その理由もお聞かせいただきたいと思います。

さらに、今や、日本は、格差どころか、新しい貧困層の拡大が深刻です。働いても働いても生活できないワーキングプアがふえています。子育て最中の一家が年間二百万円以下で暮らせると総理は思いますか。働く貧困層の問題への総理の責任ある答弁を求めます。

地方では、働き口が少なく、商店街のシャッターは閉まったままです。そして、農業も林業も疲れ切っています。

今の企業の繁栄は、こうした人たちの我慢によって支えられてきたのではないでしょうか。人間は経済の奴隷ではありません。労働者という人間のダンピング競争をして、国際競争力をつけようとする。地方を切り捨てる。そんな国のどこが美しい国なのでしょうか。

総理は、経済三団体の新年祝賀会で、景気回復が家計にも広がるよう御協力いただきたいとあいさつされました。これは政府としての責任放棄ではないでしょうか。景気回復を家計に回せと言うのなら、なぜ特別減税を打ち切るのですか。なぜ年金受給者の税負担をふやすのですか。お年寄りからは、病院にも行けなくなったと嘆く声が聞こえているのが現状です。

政府の最大の仕事は、国民に安心できる暮らしを保障することです。企業にお願いする前に、家計が潤う税制にするのが総理の仕事です。消費税をどうするおつもりなんでしょうか。はっきり示し、そして堂々と選挙で信を問うべきです。

きのうから総理はごまかしていると思います。もう一度、答弁のチャンスを差し上げます。読むのではなく、自分の言葉による答弁に再チャレンジしていただきたいと思いますが、皆さん、いかがですか。(拍手)

さらに、総理は、女性や障害者には冷たいようです。なぜ、必死に頑張っているシングルマザーから生活保護の母子加算や児童扶養手当を奪ってしまうのですか。なぜ、障害者自立支援法によって、最も重度の障害を持つ人が最も高い負担を強要されなければならないのでしょうか。応益負担は廃止すべきです。いかがでしょうか。

教育格差も広がっております。総理が子供は宝と言うのなら、すべての子供が公立の高校や大学に無料で行ける方向を目指す、教育に燃えるという総理らしい御答弁をいただきたいと思います。

総理の挙げている上げ潮経済路線は、労働者や弱い人たち、そして地方を踏み台にすることによってしか実現しないとはっきりしてきました。景気が上向けば上向くほど新しい貧困層がふえるのは、政策が根本的に間違っているからです。安倍内閣のこの政策が日本社会を壊しているのではないでしょうか。

もう一つ、総理が壊そうとしているものがあります。憲法です。

私の内閣として憲法改正を目指していきたいと、年頭の記者会見で総理は発言をしました。憲法改正は、国会の提案によって国民が決めるものです。内閣は、改正にしゃしゃり出る立場ではありません。憲法を守る立場です。自民党総裁としての発言という言いわけは通用しません。不見識のきわみです。

また、総理は、年頭所感で、国民投票法案の成立を今国会で期しますとも発言しました。国民投票法案は議員立法です。この発言も越権であり、不適切です。三権分立をわきまえていただくようにお願いしたいと思います。

総理は、立場をわきまえずに、憲法には口出しするのに、閣僚の不祥事についてはまるで人ごとのような態度です。政治資金規正法については、国会で御議論をいただきたいと知らぬ顔です。閣僚の任命責任がある総理が考え方を示すべきです。明快な答弁を求めます。

さて、総理の憲法改正の標的は九条のようにお見受けいたします。私は、イラク戦争の検証をしない人に憲法九条を変えようと言う資格はないと思います。

アメリカがイラク戦争に突っ込むのを日本政府はとめるべきだったと社民党は主張してきました。イラク戦争の成果とは一体何なんですか。具体的に示していただきたいと思います。

イラクの航空自衛隊の活動を何回問い合わせても、真っ黒けに塗りつぶした資料が出てくるだけです。人道支援というならば、公表できるはずです。なぜできないのですか。理由をはっきりとお答えください。

国民にはイラクでの自衛隊の活動内容を隠しながら、NATOでは、日本人は自衛隊の海外活動をためらわないと大見えを切ってくる。さらに、集団的自衛権の検討や、いつでもどこでも自衛隊の海外派兵ができる法律をつくるかのような発言をし、こぶしを振り上げる。やっぱり安倍総理の本性はタカ派で怖い、そんな危機感を持つ人がふえているのではないでしょうか。

総理は、米軍再編でも、地元振興のあめを振りかざして、沖縄に新たな米軍基地をつくろうとしています。世界に誇れる海、ジュゴンがすむ沖縄のサンゴ礁をつぶして、総理が日本の美しさをみずから積極的に破壊しようとしています。今や、世界は、何をおいても環境優先です。おやめになるのが賢明だと思いますが、いかがでしょうか。

日本は、被爆国であり、非核三原則を持つ国です。だからこそ、どこの国よりも強く、北朝鮮に核の放棄を、そしてアメリカなどに核廃絶を迫ることができるはずです。総理が、インドに対しては原子力の協力をし、事実上、核保有を容認しようとしているのはおかしいと考えます。なぜですか。これでは、核には制裁をと叫ぶ総理がみずから核拡散に手をかしていることになるのではないですか。

世界の現状は、暴力の連鎖や核の拡散がとまりません。社民党は、こんなときだからこそ、憲法九条を持つ日本の立場を生かして、世界の平和構築に貢献できると提起してきました。その一つが、紛争の調停外交です。

私は、NGO活動で紛争地にも行きました。日本は、ほかの国よりも紛争予防や和平交渉にもっと力が発揮できると実感してきました。それは、日本は憲法九条のもと、どの勢力にも武力で加担しないので、紛争の当事者の間に割って入りやすいからです。それにもかかわらず、安倍総理は、この貴重な立場を捨てようとしています。イラクに対しても、対立する各派の調停に、総理みずから勇気を出して乗り出していったらいかがですか。

日本は、過去の戦争の経験から、軍事力の持つ限界を思い知っています。みずからの敗戦体験、そしてベトナムでのアメリカの失敗を見ていたのに、軍事力信仰に頼るブッシュ大統領に無批判、安易についていきました。そんな安倍政権は、歴史の体験から何も学んでこなかったと言うほかありません。

総理、政治の最大の教科書は歴史です。総理のように、歴史認識は歴史家に任せるなどと逃げていて、どうして戦後レジームからの脱却などと言えるのですか。

私たちにとって、戦後とは貧困と戦争をなくすことでした。そこからの脱却を叫ぶ総理は、再び新たな貧困と戦争を生み出す方向に日本のかじを切っているように見えてなりません。

総理が美しい国づくりごっこに熱中している間にも、国民の不安はふえる一方です。こんな総理大臣に任せるわけにはいかない、そう憂える多くの皆さんに、一緒に安倍政権を選挙でノックアウトしようと呼びかけます。

以上、代表質問を終わります。(拍手)

  

内閣総理大臣(安倍晋三君)

辻元清美議員にお答えをいたします。

厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。

私は、厚生労働大臣の当該発言は不適切であったと考えております。閣僚の発言は重く、国民に誤解を与えたことは大いに反省すべきであります。その反省の上に立って職務に専念し、結果を出すことによって国民の皆様に御理解をいただくよう努力をしていただきたいと考えております。(拍手)

格差社会及びワーキングプアについてお尋ねがありました。

施政方針演説で申し上げたとおり、私は、一人一人が日々の生活に対して誇り、生きがいや充実感、あすへの希望を感じられることが大切と考えております。さまざまな事情や困難を抱える人たちの再チャレンジ支援を初め、国民それぞれの個性や価値観にも着目し、働き方と暮らし方をよくしていくことにこそ力を注ぐべきであると考えております。

働き過ぎなど、労働時間の問題についてお尋ねがありました。

労働時間については、長時間労働の抑制を図り、仕事と生活の調和を実現することが必要と考えています。

このため、労働基準監督署による重点的な指導監督や、時間外労働の削減に取り組む中小企業に対する助成金の創設など、取り組みの強化を図ることとしております。

働き方の問題については、働く人たち、国民の理解を得ることが不可欠であります。労働時間法制のあり方については、現在、検討をしているところであり、さまざまな議論を踏まえた上で適切に判断をしてまいります。

いわゆる給料の実態についてお尋ねがありました。

今回の景気回復は企業部門の体質を強化する中での回復であったため、正規雇用の回復のおくれ、地域間での回復のばらつきなどの課題が残されていることは事実であります。

こうした状況のもと、雇用情勢の改善には広がりが見られるものの、賃金の伸びが緩やかなものとなっております。家計部門でも景気回復の実感が乏しいと指摘される要因の一つにもつながっていると考えられます。

今後、景気回復を持続させる中で、企業の経営環境の改善がさらに進み、労働市場がタイトになることを通じて賃金が上昇していくことを期待しています。

パート労働者についてのお尋ねがありました。

パートタイム労働者の待遇を働き、貢献に見合った公正なものとすることは、国民一人一人が安心し、納得して働ける社会の実現のため、また我が国経済の活力の維持のために重要な課題であります。

このため、政府としては、パートタイム労働者の就労実態は多様であることから、差別的取り扱いの禁止と均衡待遇の確保の組み合わせにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するパートタイム労働法の改正案を今国会に提出してまいります。

ワーキングプアについてお尋ねがありました。

いわゆるワーキングプアについては、年齢層、家族構成などにおいてさまざまな形態があると考えておりますが、子育てをしている世帯であれば、暮らしが大変であることは言うまでもありません。

こうしたさまざまな世帯の状況に応じて、経済、雇用、社会保障等のそれぞれの分野が適切に支えていくことが重要であると考えております。

具体的には、先ほど申し上げたとおり、安定した経済成長を続け、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせるとともに、経済的に困難な状況にある勤労者の方々の所得、生活水準の引き上げを図り、格差の固定化を防いでまいります。

都市と地方との格差の是正についてお尋ねがありました。

地域の活力なくして国の活力はありません。地域活性化は私の内閣の最重要課題であります。

今後、日本経済に新たな活力を取り入れ、現在の景気回復基調をさらに息長く持続させることで、企業から家計へ、また日本全体に回復を力強く広げ、経済全体の底上げを図ってまいります。

あわせて、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めてまいります。また、地方都市の商店街の活性化を図り、住みやすく、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを地域ぐるみで進めてまいります。

定率減税、年金課税の見直しについてお尋ねがありました。

定率減税は、平成十一年当時に景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ、半減、廃止したものであります。

また、年金課税の見直しについては、世代間及び高齢者間の公平を図る観点から、負担能力に応じた税負担を高齢者にも求めることとしたものであり、その際、標準的な年金以下の収入のみで暮らす高齢者世帯については、同水準の給与収入を得ている現役世代よりも軽い税負担となるよう配慮を行っているところであります。

消費税についてお尋ねがありました。

我が国財政は引き続き極めて厳しい状況であり、今後とも、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組んでまいります。

歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。本年秋以降、本格的な議論を行い、十九年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。

生活保護や児童扶養手当についてお尋ねがありました。

現行の母子加算を含めた生活保護の基準額は、母子世帯全体の平均的な所得層の消費水準を上回っています。今回の見直しは、この生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯との公平性の確保という観点にも立って行うものであります。また、激変緩和にも留意をしながら段階的に行うものであります。

また、平成十四年の改正による児童扶養手当の見直しについては、母子家庭の母に対する自立支援に主眼を置いた改革の一環として、子育てや生活支援策、就労支援策、養育費の確保策とあわせて実施したものであります。

障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。

本制度においては、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いしておりますが、障害が重い方でも必要なサービスが受けられるよう、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細やかな軽減措置を講じております。

さらに、今般、法の円滑な運用を図るため、現場の声を十分に踏まえ、もう一段の負担軽減措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を講ずることとしており、引き続き、法の定着に万全を尽くしております。(拍手)

公立の高校や大学について、無償の教育を目指すべきとのお尋ねがありました。

高等学校や大学の無償化については、膨大な財政負担の問題などを含め、慎重な議論が必要と考えますが、家庭の経済状況によって修学の機会が奪われないようにすることが必要であると考えております。

このため、高等学校については、すべての都道府県において、経済的理由により修学困難な高校生に対し、公立学校の授業料、入学金等の減免を行うとともに、奨学金事業を実施しているところであります。

また、大学については、日本学生支援機構において奨学金事業を実施しております。

国においては、引き続き、こうした取り組みへの支援を通じて子供たちの修学の機会の確保に努めてまいります。

私の掲げる成長戦略についてお尋ねがありました。

私の申し上げている新成長戦略は、国民一人一人が日々の生活についてあすへの希望を感じることにつながる経済成長を目指しており、財界や大企業のためのものではありません。

今後、景気回復が実感できるようにするために重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることである、このように考えております。

憲法改正と国民投票法案に関する発言についてお尋ねがありました。

現在、憲法改正について与野党において積極的な議論が行われているところであります。新しい時代にふさわしい憲法のあり方について議論が一層深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。まずは、日本国憲法の改正手続に関する法律案の今国会での成立を強く期待をいたします。

なお、憲法第九十九条の憲法遵守擁護義務は、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないことは事理の当然であります。

一連の政治資金の問題についてのお尋ねがありました。

政治資金をめぐる問題は、常に政治家が襟を正して当たらなければならない問題であります。佐田議員の件については、法にのっとって適切に行わなければならない収支報告に不適切な処理があったことから、同議員がその責任をとって辞職したい旨の申し出があり、私も、その判断を重く受けとめ、これを了としたものであります。佐田議員が結果として辞任を余儀なくされたことについては、国民の皆様に対して責任を感じております。

私は、自由民主党総裁として、政治資金の事務所費の公表のあり方等について、党改革実行本部において検討を進めるよう指示し、既に、政治資金規正法の改正を含め議論が行われているところであります。

さらに、この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派においても同様に十分御議論をいただきたいと考えております。

対イラク武力行使に関する政府の見解についてのお尋ねがありました。

当時、イラクは、十二年間にわたり累次の安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。

イラクは、過去、実際に大量破壊兵器を使用しており、当時も、疑惑を否定できない状況にありました。そのような状況の中で、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであり、対イラク武力行使によって、それ以前のようなイラクの脅威はなくなったものと考えております。

自衛隊のイラクでの活動内容の公表についてお尋ねがありました。

活動内容の公表に当たっては、活動している自衛隊員はもとより、国連及び多国籍軍の要員の安全に十分に配慮することが必要であります。このことは人道復興支援活動であっても同様であります。

このため、定期的に輸送回数、輸送物資等の区分、輸送物資の累計重量をまとめてお示しをしているところであります。

今後とも、まずもって要員の安全確保や運用を最優先事項として、国連や各国の動向などにも留意をしながら、可能な範囲で活動状況をお示しするよう努めてまいります。

米軍再編についてお尋ねがありました。

在日米軍の再編については、抑止力を維持しつつ、地元の負担を軽減するものであり、ぜひとも実現しなければなりません。

現在日米間で合意している普天間飛行場の移設案は、サンゴや藻場など、自然環境への影響をできる限り少なくしたものであります。

政府としては、今後とも、自然環境に十分配慮し、一日も早い普天間飛行場の移設、返還を着実に進めてまいります。

インドへの原子力協力についてお尋ねがありました。

我が国は、インドの戦略的重要性はよく理解をしております。同時に、核不拡散条約に加入していないインドへの原子力協力については、国際的な核軍縮、核不拡散体制への影響等を注意深く検討する必要があると考えており、今後とも、本件に関する国際的な場での議論に積極的に参加してまいります。

イラクにおける各派の調停に向けた取り組みについてお尋ねがありました。

我が国としては、イラクの安定化と復興を重視しており、今後とも、国際社会と協力し、イラクに対する支援に取り組んでいく考えであります。

このような観点から、我が国は、イラクにおける国民融和の促進が極めて重要であると認識しており、イラク側に累次の機会に働きかけを行うとともに、イラク各派の国民議会議員を我が国に招いて憲法制定セミナーを開催したほか、近く、イラク各派から有力者を招いて国民融和セミナーの開催を予定するなど、さまざまな取り組みを行っております。

歴史から学ぶことと戦後レジームからの脱却についてお尋ねがありました。

私は、歴史に対して常に謙虚でなければならないと考えており、神のごとく歴史について白黒をつけるような態度は慎まなければならないと考えております。

我が国は、さきの大戦で国内外に大きな被害を与えたという事実に対し、率直な反省の上に立って、半世紀以上にわたって、自由と民主主義そして基本的人権を守り、国際平和にも貢献してまいりました。そして、高度成長もなし遂げました。こうした国の基本的なありようは、今後とも、私たちの手で守り続けていかなければならないと考えております。

しかしながら、日本を取り巻く環境は戦後半世紀以上を経て大きく変化しており、先輩方が焼け跡の中から築き上げた平和で豊かな日本を引き続きさらに発展させていくためには、戦後の日本の成功モデルに安住していてはならず、今こそ新たな国家像を築いていく必要があると考えております。

残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたします。(拍手)

   

国務大臣(柳澤伯夫君)

私は、去る一月二十七日、島根県松江におきまして講演をし、その中で人口推計の説明をいたしました。その際、女性と人口との関係につきまして、女性の方々を傷つける不適切な表現を用いました。この点、まことに申しわけなく、深くおわびを申し上げます。

今後は、深い反省の上に立って、安倍内閣のもとで、子どもと家族を応援する日本重点戦略の具体化を含め、少子化対策のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。(拍手)