つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2007年4月13日 衆議院本会議

2007.4.13

議事録

166-衆-本会議-22号 平成19年04月13日

辻元清美君

社会民主党・市民連合の辻元清美です。

私は、社会民主党・市民連合を代表して、自民、公明の併合修正案及び民主党の修正案の憲法改正手続法案、両案に反対の討論をいたします。(拍手)

昨日、両案が委員会で強行採決されました。まず、強く抗議いたします。また、本日、本会議場で、両法案提出者同士が非難の応酬をしています。このような状況で憲法を論じる資格はないと申し上げたいと思います。

世論調査では慎重審議という声が圧倒的に多く、与党推薦の公述人からも強引に進めることへの懸念が示されました。主権者は決して急いでいません。急いでいるのは、私の内閣で憲法改正をなし遂げると音頭をとり、そのために今国会で手続法の成立をと立法府に口出しをしてきた安倍総理ではありませんか。

憲法は権力を縛る規範です。主権者のものです。それなのに、安倍総理がみずからを戒めるべき権力を振り回し、自分の勝手な思いをなし遂げようとすることは、立憲主義の崩壊につながります。今、私たちはその危機に立たされています。

私は、常に、憲法とは何かという共通認識の必要性を訴えてきました。しかし、両案とも、この基本的な議論を深めていなかったために、致命的な欠陥があります。

憲法は、政権交代があっても揺るがない長い歴史にたえ得るものでなければなりません。ですから、憲法改正には、国民の総意に近いコンセンサスを得て、憲法の正統性を確保することが何より重要です。そのためには、最低投票率や絶対得票数の導入が必要です。この点だけをとっても、両案は認められません。

改正手続を定めるのは憲法九十六条です。ここで言う三分の二とは、国会の発議までの要件です。そうであれば、発議後は、あらゆる場面で賛否の意見を平等に扱うのが当然です。それにもかかわらず、当初、公報のスペースなどが国会の議席配分によるとなっていました。これは、国会は発議するまでであり、決めるのは主権者であるという根本原理を全く理解していなかったということです。

だれもがひとしく意見表明や運動ができるということも国民投票の基本です。公務員や教育者の運動規制は国民投票の国際スタンダードから外れ、日本の民主主義の成熟度が問われ、恥ずかしい限りです。

テレビCMも問題です。資金力が民主主義をゆがめる可能性があります。全面禁止の声が高くなってきています。憲法改正が金で買われることがあってはなりません。

国民投票の運動期間は六十日から百八十日となっています。憲法を国民一人一人が自分のものとし、熟慮し、賛否にたどり着くには余りにも短く、余りにも軽い扱いになっています。

提出者は単なる手続法だと主張してきました。しかし、両法案には憲法審査会の設置が組み込まれ、これは改憲に向けてこまを進める布石です。

そして、安倍総理は、現在の憲法が占領期につくられたとして、全面的に改めようと訴えています。しかし、両案で可能なのは部分改正であり、全面改正はできないのです。奇妙なことに、総理は、自分が目指す改正ができない法案を何がなんでも制定をと号令をかけているのです。これは、法案の中身はお構いなしに、なりふり構わず改憲への道を開いていこうとしているからにほかなりません。

両案とも、国民のための国民投票法になっていません。安倍カラーを出すための改憲準備法案ではないですか。

折しも、安倍政権は、防衛省を設置し、集団的自衛権の見直しを訴え、教育に愛国心を持ち込み、さらには過去の歴史認識、特に従軍慰安婦や沖縄の集団自決などの事実の書きかえまでしようとしています。安倍総理が唱える戦後レジームからの脱却とは、実は戦前レジームへの回帰であることが浮き彫りになってきています。そのための改憲を目指して、まず手続法の成立をと繰り返しているのが現状です。

私は、主権者の慎重にという声を振り切って改憲への道筋を強行することは、時代を新しく前に進めるどころか、誤った時代を繰り返すことに手をかすことになると考えます。よって、両案に反対し、反対討論を終わります。(拍手)