つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2007年4月12日 日本国憲法調査特別委員会

2007.4.12

議事録

166-衆-日本国憲法に関する調査…-5号 平成19年04月12日

辻元委員

社会民主党・市民連合の辻元清美です。

まず初めに、きょう採決をするという話が出ておりますが、私はきょうの採決はここで踏みとどまるべきだと思います。それが立法府の役割だと思うからです。

先ほどから審議を尽くしたとかおっしゃっていますけれども、つい先週の木曜日、初めて一般公募の公述人の方々のお話を聞いたのは一週間前の木曜日で、そして、きょう初めての委員会なんです。さらには、民主党案もきょう趣旨説明を聞いたばかりです。それで、その三時間後に採決というあり方自身、私は、立法府の自殺行為だと思います。

特に、憲法を取り扱うという本委員会において、委員長も権威があるとおっしゃってきました、私は最後までその権威を守り通していただきたいと思います。ですから、きょう職権で立てられたことも抗議いたしますし、私の質問の後に質疑を終局して採決と言われておりますけれども、私はここで踏みとどまるべきだと皆さんにまず呼びかけたいと思います。

といいますのは、立憲主義とは何かということだと思います。公述人の方々が多々述べられました、立憲主義の原点というのは主権在民であり、主権者の熟慮と総意、コンセンサスづくりであると。そしてさらには、憲法というのは社会の安全装置であると。いろいろな思い、発言を聞いたわけです。ですから、私は、委員長にも申し上げたいと思いますが、踏みとどまっていただきたいとまず申し上げます。

この委員会で、私は、立憲主義、要するに憲法の原点を見失った議論になっていないかということを多々質問してまいりました。私の感想は、きょうまで質疑をすればするほど、やはり、憲法とは何か、また、憲法の改正が規定されている九十六条とは一体どう解釈すべきかというところを深めないまま議論を進められてきたというところで、私は、法案の欠点、致命的な欠陥が、幾つかというかどんどん出てきたように思います。

まず、九十六条の解釈に関する質問を幾つか与党提案者にしたいと思います。九十六条では、この憲法と一体をなすものとして公布するとなっています。このことについてまず質問をします。これは発議の方法とも関係してくることです。本委員会では一括か個別かというような議論がございましたけれども。

そこで与党提案者にお聞きしたいのは、安倍総理が、この間、一貫して、新しい憲法を書き上げるんだ、そして、自民党の新憲法草案が今のところ自民党のベストの憲法改正案の提示である、今のところのベストの憲法改正の提案であるというようにおっしゃっていますが、自民党がお出しになった新憲法草案は、今のところのベストですか、いかがですか。

船田委員

一昨年の十一月に、私ども自由民主党の新憲法草案を世に出したわけでございます。もちろん、あの時点においても、また現在においても、私どもは、現行憲法の改善ということで自由民主党の新憲法草案が最も望ましいものというふうに今でも考えております。

ただし、これは今後の国会内での議論、とりわけこの憲法改正発議の要件が、まさに衆議院、参議院両院の総議員の三分の二以上の賛成がなければ発議をすることができないわけであります。これが有名な三分の二条項でございますから、私どもは、自分たちの案を最善とは思っておりますけれども、他党の意見もよく聞いて、そして、三分の二の理解が得られれば、それが改正の原案になるわけでありまして、私どもの自民党の新憲法草案そのものが改正の原案になるとも思っておりません。そうするように努力はいたしますが、現実はそうではないだろう、こういうことでございます。

辻元委員

ということは、この新憲法草案というものを自民党の提出者の方々は最善とおっしゃったので、国民投票で一番通したいのはこの案であるという理解でいいですか。

船田委員

事の道理として、そういうことであります。

辻元委員

次に、与党案の国民投票法案について伺います。

今お出しの与党案の国民投票法案がベストであると自民党の提案者はお考えですね。

保岡委員

もちろん、最終的に検討した結果としてベストだと思っております。

辻元委員

そうしましたら、今提出されている国民投票法案で、自民党の新憲法草案は皆さんがベストとお考えの国民投票法案の国民投票の対象になるとお考えですか。

船田委員

今のはちょっと誤解が多いと思いますが、あくまで三分の二以上の賛成を国会内で得なければ改正の原案になりません。ですから、我々、今考えて、自由民主党の憲法草案が最も望ましいとは思いますけれども、今後の与野党間の話し合いによりまして国会の中で改正の原案がつくられていくわけでありますので、その中ではいろいろなことがありますし、我々もまた考え直すこともいっぱいあるでしょう。だから、そういう点で、我々の案がそのまま通りやすいように手続法を決めるということは全くの誤解であり、言いがかりであると思います。

辻元委員

自民党の新憲法草案の改正点は何カ所あるんですか。

船田委員

今手元にありませんので、具体的な数字は申し上げられませんけれども、相当な部分に上っております。大体数十カ所と申し上げていいと思います。

辻元委員

今、自民党の提出者の方は、新憲法草案がベストで、これが成立すればいいというふうにおっしゃいました。改正点は数十カ所あるとおっしゃいました。

しかし、今予定されている、お出しになっている国民投票法案では、発議の方法として一括か個別かという議論の中でもありましたが、これは今御答弁なさっている船田提出者がお答えですけれども、せいぜい二、三カ所を想定しているというようなお話だったんですよ。矛盾するんじゃないですか。御自身の、自民党がやっていることは矛盾するんじゃないでしょうか。

一方で数カ所しかできないと想定している国民投票法案を出しておいて、そして新憲法草案を一方で出して、私はここに非常に大きな矛盾を感じるし、一体、憲法というものをどう考えているのか。

今の矛盾点についての続きで質問しますけれども、ヨーロッパの調査でもそうでした、全面改正ということは難しいと。オーストリアに一緒に伺ったときも、全面改正、何のことと。新憲法草案が全面改正であるかの議論のお答えをいただくつもりはございません。憲法改正というのは慎重であるべきだし、私がこの場で御紹介してきたアメリカのシングルサブジェクトルールも、徹底した個別主義、個別投票にしていくのは、最小限の憲法改正に抑えて社会の不安定化を防ぐという考え抜かれた方法なんですよ、一括か個別かということ一つをとっても。全く考えていないから平気で新憲法草案みたいなものを出し、そして、自分たちがベストだと出しているものを、みずからが出していらっしゃる今の国民投票法案では投票の対象にできないですよ。矛盾していると思いませんか。いかがですか。