つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

News

2007年11月6日 テロ防止・イラク支援特別委員会

2007.11.6

議事録

高村国務大臣

国際法上の戦争ではありませんから、直接適用されるということにはならないかと思いますが、要するに、人権を守る規定でありますから、このような種類のものについてはできるだけその趣旨は尊重されるべきことだと思っています。

辻元委員

今おっしゃったこのような状況のことというのは、どのような状況のことですか。

高村国務大臣

先ほどから言っていますように、まさに治安警察活動と理念的には解されても、外形的には武力行使と変わらないような大規模なものが行われている。そういうような状況の中で、タリバン、アルカイダとアメリカあるいはOEFの各部隊との闘いの中で、ジュネーブ条約に言われる捕虜ではなくても同じような状況になった人たちには、できるだけそういうジュネーブ条約に定められているような人権保護上の趣旨は準用されるべきだ、そういうふうに考えております。

辻元委員

そうしますと、最初、個別的自衛権の行使でアメリカが、これは戦争です、始めた。そして、カルザイ政権ができた。この間は明確にジュネーブ条約が適用されていると考えていいんですか。それ以後切りかわったという理解ですか。

小松政府参考人

大変に技術的な御質問でございますので、私の方から御答弁をさせていただきますが、ジュネーブ条約、今外務大臣から御答弁いたしましたように、米国が捕捉をいたしましたアルカイダ及びタリバンの抑留者に、これは自衛権を行使していた当時、この取り扱いについて、これらの抑留者はジュネーブ条約上の捕虜とはならないという見解を表明しているところでございまして、これは委員も御承知かとも存じます。

例えば、二〇〇二年の二月七日、当時のフライシャー・ホワイトハウス報道官は、次のような法的理由でアルカイダ、タリバンについてはジュネーブ条約上の捕虜とならない、こう言っております。

タリバンとアルカイダについては理由が違うと言っておりまして、タリバンにつきましては、米国はタリバンを政府承認していないが、アフガニスタンはジュネーブ条約の締約国であるので、タリバンのメンバーは条約の適用対象となる、こう言っているわけでございます。しかしながら、タリバンのメンバーは、次の理由により同条約の捕虜資格を満たさないので、ジュネーブ条約第三条約上の捕虜とならない。まず、タリバンは、自己と文民たるアフガン市民とを実効的に区別していない。それから、タリバン兵は、アルカイダという不法なテロリストを意識的に受け入れ、支持してきており、国際的な法規と慣例に従って行動していない。つまり、これがジュネーブ条約第三条約第四条に申します捕虜の定義に当たらないということを言っているわけでございます。

次に、アルカイダでございますが、アルカイダは国際的なテロリストグループであり、ジュネーブ条約の締約国と考えることができない。したがって、アルカイダのメンバーは、同条約の適用対象とならず、同条約上の捕虜資格を満たさないので、同条約上の捕虜とはならない。しかし、こういった抑留者であっても、最低限人道的な扱いをしなければならないんだということを言っているところでございます。

辻元委員

今私が御質問しましたのは、捕虜の扱いに関することではないわけです。文民の保護。例えば一般の市民は、大臣、かなり亡くなったりしているわけですね。御承知のとおりですよ。

アメリカの……(発言する者あり)何ですか。静かにさせてください。ぶつぶつぶつぶつと、失礼ですよ。

例えば、日本から行っている、援助活動をしているスタッフの御家族がいきなり誤射されたという話を実際私も聞きましたし、それから、例えばこういう事例もありました。

パキスタンとの国境地帯で、特攻兵というか米軍の車両に突っ込んでいく人がいた、残念ながら。しかし、ほとんど、爆薬は殺傷力が小さいものだった。ところが、仰天した米兵が突然群衆に向かって撃ち出して、十七人がその場で即死した。それに対してみんなが怒り、外国人は出ていけ出ていけと悪循環になっている。米軍は、イスラム過激派のテロで十八人死亡と発表した。これは、本委員会でもよく名前が出てきている中村哲さんが、自分の体験に基づいて発言されているんですね。これは非常に憂慮されているわけです。

そうすると、こういう文民の保護というのもジュネーブ条約の対象外になるのか。そうしたら、一体どう保護されるのか。

例えば最初の事例で、スタッフのお母さんが撃たれたときに、米軍に抗議に行った。そうすると、米軍は、こういうことは日常茶飯事だから一々調査をしていられないと言われた。こういう状況がアフガニスタンの中で、これは一、二件の事例ではないと思うんですね。そうすると、先ほどから捕虜の扱いについても、ほかの方がどういう扱いになっているのかというふうに、ジュネーブ条約の関係で今御答弁もあったり、質問もされていますけれども、文民の扱いがどうなるのかということなんです。一体、アフガニスタンで何が起こっているのか。

そして、大臣は、先ほどの御答弁ですと、外形的にはやはり戦争というか武力行使と。でも根拠は、先ほどるる御答弁されているようなことで、私は納得はなかなかできませんけれども、起こっている実態は戦争ですよ。こういう形でOEFが行われている。これを、ここでちょっと立ちどまって考える。

きのうの参考人の御発言の中でも、NATOの中で、これはクローズドの会議にして、本音で議論しようじゃないかということで、かなり辛らつな議論がされているようです。どのように軌道修正していくのかと。これは、どのようにOEFを店じまいしていく方向で進めることができるのかという、軌道転換の時期だと思いますよ、大臣。

ですから、私は、あと数分しか時間がありませんけれども、これをカルザイ政権の補完活動だ、だから中身についてよく検証しなくても、外形的な条件はそうなんだから認めるんだというようにするのか。その中身について、一つ一つ今アフガニスタンで行っていることを点検していかないと、私は歴史に恥じると思います。こんな形で他国に武力行使を容認していく社会にしたいんでしょうか。

今までは、少なくとも国連で決めた。それについて、PKFもありました。PKFでも、スーダンの事例なんかは大失敗だったわけですよ、武力行使し過ぎて紛争が拡大してしまった。さまざまな経験をしていますけれども、今回のOEFのような形というのは、これは初めての事例だと思います。ですから皆、法的根拠はどうなんだ、ここで日本でも本音で議論した方がいいと。NATOでもやっていますよ、大臣。

これは私は戦争だと思います。ですから、そういう中身について大臣はいかがお考えですか。このまま突き進んでいいのか。暴力の連鎖ですよ。

ですから、その点をお聞きしたいことと、もう一点、懸念しているのがパキスタンへの飛び火です。私は、六年前の質問でも、問題はパキスタンだという質問をしました。特に、トライバルエリア。そこまで行きました、私は六年前に。だれも入れない。

そして、パキスタンも結局、パキスタンはイスラム国ですから、日本と一緒ですよ。イスラム国もこのOEFに参加しているということをやはり実態的につくらなきゃいけないということで、アメリカが誘ったんですよ。でも、アフガニスタンの陸上には行けないから、何とか海でと。日本とよく似ています。しかし、今ムシャラフ政権がどうなっていますか、戒厳令ですよ。

これは実際に、アメリカがパキスタンに対しても、おまえら逃げるなよとずっと圧力をかけ続けてきて、国内で爆発寸前になっているわけです。私は、パキスタンも一たんOEFの、これはMIOの活動ですけれども、手を引いた方がいいと思っています。自由にした方がいいと思っています。

というように、そういう外交的なイニシアチブを、私は、一たんここで日本は、このテロ新法じゃなくて、方向転換をして、政治的な、パキスタンとどうしていくのか。タリバンとの和解という話が出ていますけれども、タリバンとの和解をするためには、パキスタンはキーですよ。しかし、軍隊を出している国はできません。だから日本は、ここで立ちどまって、給油、給油と出すんじゃなくて、方向転換をして、パキスタンやそれからアフガニスタンの和平の交渉に力を尽くすというふうに転換した方がいいと思います。

ですから、実態的にアフガニスタンで行われていることについてどうお考えか、そして外交的なイニシアチブをどうおとりになるおつもりか、お聞きしたいと思います。

高村国務大臣

誤爆がいいはずはないわけでありますし、無辜の民が殺されることもいいはずがないわけでありますから、そういう点については、できるだけそういうことを減らすようにOEF参加国とカルザイ政権の間でも話し合われていると承知をしております。

日本政府は日本政府として、海上補給活動もいわゆるOEFではなくてOEF・MIOの部分だけに限ってやる、インド洋を平和の海にする、その活動の基盤のお手伝いをする、こういうふうに書いているわけであります。

そして、日本政府は、EUもそうでありますけれども、国民和解をカルザイ政権がするということは支援をしていきたい、こういうふうに考えておりますし、そういう点でこれからも努力をしていきたい、こう考えております。

辻元委員

日本が一番和解に向けてのリーダーシップをとれる位置にいるということを再認識していただきたいということを申し上げて、終わります。