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2009年6月10日 外務委員会

2009.6.10

議事録

竹下副大臣

先般そのようにお答えをしたことはもちろん事実でございますし、韓国とかタイとか、幾つかの国の財務当局者あるいは政府の関係者と話しておりまして、例えば韓国の場合ですと、そのコンディショナリティーといいますか条件を比較的守って、だけれども苦しかったということをおっしゃっております。タイでも似たようなお話をお伺いいたしました。その当時と今回の金融危機では、短期資金が大量に引いたという部分と今回みたいにすべてが引いちゃったという部分、いろいろな違いはあるんですけれども、IMFが出てくることに対するある種の抵抗感というのが残念ながらまだ残っているな、こう感じております。

ただ、では、ほかにIMFにかわる有力な、そうした国際金融の舞台での世界で通用する機関があるかとなると、なかなかこれは難しい。では、日本一国でそれを引き受けられるか。これはもっと難しい。やはり我々は、いろいろな問題はあるけれども、IMFを中心にした国際金融体制というのをしっかり維持していかなければならない、こう考えておりますし、そこに向けて改革、辻元委員がお話しになりましたように、IMFはすべて一〇〇%正しいわけでもありませんので、それぞれの地域に合った、あるいは貧困の度合いに合った、あるいはもしかしたら文化の度合いに合った金融支援、そんなものがあるのかどうか私は知りませんが、そんなことまで、アジアとヨーロッパ、アメリカの物の考え方の違いみたいなものを一つ痛感させたのがアジア危機であったのかな、こう感じております。

辻元委員

今の御発言の中で、文化に合ったという御発言もございまして、それから韓国やタイの事例ということで御紹介いただいたんですが、インドネシアもそうですね。

結局、私は、今回の金融危機と、九〇年代、これぐらいから、経済のグローバリゼーションが八〇年代後半から進んでいきます。経済のグローバリゼーションというのは、やはりアメリカが先導しましたと思います。

八九年にベルリンの壁が崩壊して、その後、東側諸国がなくなった中で、アメリカ一極みたいな形にやはりどうしても世界がなりました。その中で、アメリカが、アメリカ型のとあえて申し上げれば、資本主義のやり方、金融を自由化していくということを先導して、東側がなくなったものですから、言ったら、ほら、社会主義がなくなったやろう、アメリカ型でいくでということで、アメリカ型の金融優先のいわゆる規制緩和と市場開放、市場の原理という一つの物差しで世界じゅうのあちこちにその構造改革を迫ったというのが、やはり私は九〇年代のアジア危機を、てこにしてと言ったら変なんですけれども、識者によっては利用してという言葉を使う識者もいるわけですね、そういう一つのやり方、その中にIMFも組み込まれて、先ほどからIMFなどの国際機関の人事も欧米型と言われておりますけれども、その一つのアメリカのスタンダードを、先兵としてと言ったらちょっと言い過ぎなので、あえて申し上げると、その思いも私はありますので、IMFが先導していったんじゃないかというように私なんかは考えるわけなんですね。そこの部分、今の金融危機と切っても切れない、むしろ、金融危機みたいなことが起こる世界の経済システムをつくる一つの役割を果たしてしまったんじゃないか。

ですから、そこをどう考えるかということを抜きに、幾ら増資しても、それからこれから規制をするといっても、その根本のところの議論を、これは何も別に私はアメリカを攻撃しているとかというわけではなくて、アメリカの中の議論も起こっていると思うんですね。

当時を見ますと、韓国の経済学者のキム・デファンさんという、一九九八年にお書きになったものの中にも、私は、経済学者として、外国資本の誘致を同時に求めるIMFの融資条件に疑問を持つ、さらにこの条件ではインフレになるんじゃないかとか、それから、金融の過度な自由化をアメリカ型のやり方で求めてきているとか。

それから、インドネシアについても、ある経済学者が、「IMFはアジア経済の台風の目となっている。IMFの要求は、経済危機を長引かせ、デフレ的な、かつインフレ的な影響を地域経済に与えている。」ということで、その中で、外国資本への過度な依存をもたらしているのではないか、それから、グローバル市場というものを急にアジアに押しつけてきているんじゃないかと。これによって、今起こっているような問題、労働者の格差が広がるとか貧困層がふえるというような指摘をもう既に、これは両方とも九八年です、していたんですね。

私は、やはり今の経済危機というのは、このときの危機と切っても切れない。そして、このときの危機の対応の仕方がいわゆるそういう形での、IMFなどを中心にしていた一つの方法に頼っていたために、さらに危うい構造のグローバル経済というものができてしまったんじゃないかというように考えているんですけれども、竹下副大臣、いかがでしょうかね、いろいろ現場でもお話しされていると思いますけれども。ここは、これからIMFをどうしていくか。私は否定しているんじゃないんですよ。ですから、きょうの協定の改正に賛成なんですね。少しでもよくなる。しかし、その根本を今私たちはしっかり考えないといけない時期じゃないかなと思うんです。

今、アジアの国々と話し合っていて、やはりアメリカのやり方というか、グローバルスタンダードという名でいきなりやってきたというようなやり方。それから、ワシントン・コンセンサスという言葉を御存じだと思うんですよ。結局、IMFとか世銀とアメリカの財務省が一緒になって一つの経済戦略をつくっているんじゃないかと。これは九〇年代後半からずっと言われてきていたわけです。それで世界がうまくいったのならいいんですけれども、かえって脆弱な経済構造をつくってしまった、その中にIMFもあったのではないかと私は思っているんですが、いかがでしょうか。

竹下副大臣

辻元委員のおっしゃることを全面的に否定するつもりはございませんが、例えば日本を念頭に置いても、IMF、世銀というものの後押しを受けながら経済復興してきた、高度成長をなし遂げてきたという背景がありますし、アジアの国々がこれだけ今、世界の中で一番経済の勢いがいい、今は苦しいですけれども、苦しい中でも勢いがいい、こう言われておる背景の一つは、すべてがIMF、世銀ではないんですが、そういった国際金融体制の中でアジアという国が、あるいは自由貿易体制、あるいは市場競争原理と言い直してもいいかもしれませんが、そういったものの恩恵をしっかり受けていることもこれまた事実なんです。悪い面ばかりではないんです。

ただ、今回こうやって経済危機が起きてきますと、なかなかいい面ばかりの評価をするわけにもいかない。というより、私は、アメリカが例えば時価会計をあれだけ世界にやれ、やれと言っていた。今回の危機を迎えてアメリカが何をやったか。時価会計を見直してもいいよということを突然言い出した。これはあるコラムニストの言でありますが、日本はルールを守る国、アメリカはルールを変える国、こういう表現をした人がいるんですが、アメリカというのは時にそういうことがあります。

ただ、だからといって、IMFそのもののルールをアメリカの意思だけで変えられるか。あれは出資比率にほぼ応じた発言権が確保されておりますので、なかなか、おっしゃるように、アメリカとIMFが完全に一体である、ワシントン・コンセンサスというのが世界を覆っておるというのは、ちょっと見過ぎじゃないかな、こう思います。

辻元委員

私もそれだけと申し上げているわけではないんです。

経済のグローバル化というのは、もう避けて通れないと思うんですよ。しかし、偏り過ぎると、それともう一つは、一つに基準をそろえ過ぎると、多極化していないと危機が一遍に、一つのルールと言ったら変なんですけれども、単純化されていくと全部に行き渡っちゃうわけですよ。

例えば、今アメリカは、GMも国有化、それから銀行ナンバーワンのシティも、それから保険のナンバーワンも、皆国有化という事態になっているわけですね。これも、どんどん買収して大きくなったら安全なんじゃなくて、一つが倒れたら全部倒れていく。今までは違ったわけですね、いろいろな形があったわけですよ、経済のルールにしても。そうすると、こっちが倒れてもこっちは元気であるといえば、こっちが助けることもできる。

私は、グローバル化というのは避けて通れないんですけれども、これから私たちが考えるに当たって、この前、チェンマイ・イニシアチブのこともちょっと外務大臣には質問したんですけれども、あのときにアジア通貨基金の議論も出てまいりました。一つはグローバル化は進めるんですけれども、やはり地域地域の一つの防波堤と言ったら変なんですけれども、防波堤になるかどうか、これもわかりません、今みたいな時代になってきますと。

しかし、アジアの今までのそういうIMF的なやり方の反省も踏まえて、やはりアジアでまず協議を、これは外務大臣もなんですけれども、どうだったのか、一体何が問題だったのかということをアジアとして考え、一つのEUというブロックはございますので、アジア通貨基金、あのときも何かやはりIMFとアメリカが、日本がそんなことをするのはちょっと待ってくれというような意見もあったと当時聞いております。ですから、やはりアジアの経済圏をどういうふうに強くしていくか、その上で、IMFももちろん大事ですし、つき合っていくという視点を持たなきゃいけないなと。

日本の国内の内政を見ても、結局、市場の原理、規制緩和、民営化、自由貿易というのを進めていったわけですよ、IMFも、それを基軸にして。今、これは日本も議論されているわけですね。規制緩和は、全部反対じゃなくて、バランスですよね、緩和していいものと、やはりここは規制しておかなきゃいけないというもの。

ですから、私は、今、このアジアの経験も踏まえた上で、外務大臣に、これからIMF改革を進めるに当たりまして、日本はお金を出すと約束しましたけれども、その中身の理念であったり、それから、アジアの通貨危機などの経験を踏まえてという中身は、むしろIMFのあり方が今の金融危機を加速させる面があったのではないかという観点からも、しっかりアジアの国々と議論してリーダーシップをとっていただきたいんですよ。外務大臣、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣

IMFのアジアにおける過去に行ったことに対する反省や、また、ワシントン・コンセンサスという言葉が出ましたけれども、そういうものに対していろいろな意見があり、また改革も行われているところでありますけれども、東南アジアにおきましては、特にインドネシアや韓国におきましては、融資条件として課された政策などは非常に広範にわたっていたり、あるいは国営企業民営化とか、そういうようなマクロ経済の安定には必要不可欠とは言えないようなものも含まれていた結果、なかなか反発も招いた、そういうようなことが言われているわけであります。

今回、この経済危機に対しましては、IMFがやはりしっかりとした役割を果たすことが重要でありまして、そういう意味では、IMFがガイドラインを策定しておりますけれども、IMFの資金支援等につきましては、我が国としてはこの機能が十分果たせるようにしっかりと対応していかなければならないと思っております。

辻元委員

七月にはサミットもございます。そこまで政権がどうなっているか、ちょっとよくわかりませんけれども、だれが行かれるのか。しかし、その中で、今、竹下副大臣の御答弁で文化とかいろいろな御発言をされておりましたので、本当にアジアの国々とよくそのときの議論を深めていただきたいというように思っております。でないと、今回も、よくなるんですけれども、しかし、根本のところをしっかり、これは今、日本を含めて世界がすごい大事な局面に来ると思います。ますますひどい方向に行くのか、何とか人類の英知で言うたら大げさですけれども、今の状況を脱することができる方向を探れるのかということになりますので、御議論をお願いしたいと思います。

それで、もう一点、きょうは刑事共助協定のこともございますので、そちらに質問を移したいと思います。

まず、今回は香港との間ですけれども、日米、日韓、日中と今まで結んでまいりました。私がちょっと疑問に思っている点がありまして、日米と結んでいる、これと地位協定の関係がどうなるのかということを常日ごろから疑問に思っておりました。

といいますのも、例えば凶悪犯で、殺人とか強盗をもしも国内ですると、アメリカに逃げ帰ったら、これは凶悪犯ですから日本としてはけしからぬということになって、もちろんそういう凶悪犯の場合は、日本政府としてはアメリカ政府への捜査の協力要請などすると思うんですね。しかし、これは一たび地位協定が絡んでくると、今までの戦後の中でもそういう事件が、いや、アメリカ本国に帰りましたからということで、なかなか被害者が納得するような形で解決しないという事例がたくさんありました。

そうしますと、この両者の関係は何ができて何ができないのか、まず御説明をいただきたいと思います。