つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年6月10日 外務委員会

2009.6.10

議事録

梅本政府参考人

お答え申し上げます。

日米刑事共助条約は、捜査、訴追その他の刑事手続に関する日米間の共助の範囲、事件、手続等につき定めたものでございますが、これは在日米軍人軍属等へも適用し得るものでございます。

他方、在日米軍軍属等に関係する事件につきましては日米地位協定があるということでございまして、日米地位協定の例えば第十七条6は、「日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集及び提出(犯罪に関連する物件の押収及び相当な場合にはその引渡しを含む。)について、相互に援助しなければならない。」旨の規定がございます。そういうことで、我が国の捜査当局及び米軍当局は、我が国における米軍人等の犯罪につきまして、この規定に基づいて供述の取得や物件の提供等の捜査協力を相互に求めることができるわけでございます。

このような捜査協力について、日米刑事共助条約に定める手続を通じてこれを求めるということが禁止されているわけではございません。しかしながら、地位協定の場合には、基本的には同協定に従って実施するのが筋ではないかというふうに考えております。

また、地位協定に基づけば、我が国の捜査当局と在日米軍の当局が相互に直接連絡をし援助を行うという、迅速かつ簡素なルートで行い得るわけでございますが、日米刑事共助条約に基づけば、同条約上の我が国の中央当局それから米国の中央当局たる司法省あるいは米国国防省というものが介在することになりますので、一般にそういうようなルートによって行うメリットというのはないのではないかということでございますので、地位協定のもとで協力を行い得るケースについてこの刑事共助条約に基づいていろいろ行うということは、なかなか想定されないのではないかということでございます。

辻元委員

関係は、今整理してお話しいただきましたので、理解をいたしました。

さて、その上でなんですけれども、犯罪件数を見てみますと、これは、きょう警察庁の方に来ていただいていると思うんですけれども、例えば米国人、来日米国人ですね、一般に観光とかお仕事で来られる米国人の犯罪件数と、それから米軍の関係者の犯罪件数は、これは別々に統計をとっていらっしゃると聞くんですが、どれぐらいなんでしょうか。

宮本政府参考人

お答えいたします。

平成二十年中の米国人の刑法犯の検挙件数でございますが、これは四百五十二件でございます。いわゆる来日の米国人ということでございまして、統計上、これに含めておりませんが、外数になりますが、平成二十年中の米軍人及び軍属の刑法犯検挙件数は九十一件となっております。

辻元委員

今、全体、これは軍人軍属を除く場合が四百五十二件、軍人軍属が九十一件なんですね。そうすると、四分の一、何分の一と言ったらいいのかな、割合、私は、軍人軍属の比率は高いと。年間九十一件となると、毎月何件か起こっているわけですから。特にこの軍人軍属の場合に、沖縄なんかではきちんと捜査がされないんじゃないかというような被害者からの訴えなんかもあるわけですけれども、それぐらいの数です。

さて、その中で、ちょっとこういう事例があるので聞いていただきたいんですけれども、先ほど、この刑事共助協定、これは米国の軍人軍属も含めて適用されるという明快な御答弁だった。しかし、地位協定でやった方が、いろいろ事の特殊性からかんがみて、なじむのではないかという御答弁だったと思うんですね。

例えば、これも御存じの方は多いと思いますけれども、横須賀の米空母のキティーホークの乗務員の人に、これは二〇〇二年の四月ですが、ある女性が強姦されたんですね。この案件で、不起訴になりましたので、まずここで刑事共助協定の範囲ではない。しかし、不起訴になったのは不服だし、どうも取り調べがおかしいということで、この女性が民事裁判を起こしたんですね。そうしたら、民事裁判で、〇四年の十一月、東京地裁は強姦の事実認定をして、そして相手の米兵に慰謝料三百万円の賠償の判決を下したわけです。ところが、この米兵は、結局、審理中に除隊してアメリカに逃げ帰っちゃったんですよね。それで、うやむやになっておるわけですね。

こういうケースというのは、この人の例だけではなくて、割合あちこちから指摘されているのは、皆さん御承知のとおりです。結果、どうなったかというと、判決が出て、強姦の事実認定をされたけれども、この米兵が帰っちゃった、それで、アメリカの方も知りませんになっておるわけですね。結局どうしたかというと、防衛省にお聞きしますが、防衛省がこの賠償金を肩がわりして三百万円を払ったんですか。

井上政府参考人

お答えを申し上げます。

今お尋ねの事案でございますけれども、結論的に申し上げますと、防衛省といたしまして、昭和三十九年の閣議決定でございます「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」という閣議決定がございます。それに基づきまして見舞金を支給しております。

辻元委員

三百万円と聞いたんですけれども、これはこの女性が強姦の事実認定を裁判でされたということを根拠にした見舞金ということで、政府としても、米兵が強姦をしたという事実を認定したから払ったわけですね。