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2013年5月29日 法務委員会

2013.5.29

議事録

谷垣国務大臣

前回、憲法に関して辻元委員と御議論をさせていただいた後、私、大変反省をいたしまして、実は今、委員長も私のことを谷垣法務大臣と御指名をなさったと思うんですね。私は、ここに一議員として立たせていただいているのではなくて、法務大臣として立たせていただいている。まだこの案が国会に上程されているわけでもないですが、あと、議事録をごらんになれば、法務大臣谷垣禎一と書いた答弁になっていると思います。

私、そっち側に座ったら一議員として自由にやりますよ。だけれども、こっち側で答弁するときは、法務大臣谷垣禎一として答弁をいたしているわけでございますので、まだ上程もされていない憲法の改正について、ここであたかも法務大臣であるかのごとく、まあ事実、法務大臣なんですが、御答弁するのはいかがかと実は思って、反省をしたところでございます。したがって、寡黙であればあるほどよろしいというのでここに立たせていただきました。

ただ、今、家族のことで説教がましいとおっしゃいますと、といって答弁しちゃいけないんですが、説教がましいとおっしゃいましたけれども、実は、世界人権宣言にも家族は尊重しなければならないということが書いてございます。憲法観に関してはいろいろな見方があると思いますが、道徳規範を入れるのはいかぬという御趣旨でしたね。ただ、辻元さんは非常に前回も天賦人権論を擁護なさいましたが、あれも、全くの実定法規範というよりも、ある意味では極めて法哲学的なというか、ある意味では極めて人類が探し求めてきた根本倫理は何かという観点からの御議論だと思うんですね。

ですから、ここは恐らくいろいろな議論があると思います。法哲学の上からいっても、憲法論からいっても極めていろいろな議論があると思いますが、私は、ハーグ条約も、やはり基本は、家族、親子関係、こういうものを大事にしたいというところから出た、しかし、それは、ハーグ条約自体がどれだけ価値観を含んでいるかわかりませんけれども、そういう中において、できるだけ、国際間の紛争になったときの準拠法というか、手続をどう定めていくかという観点からなされていると思うんですね。

確かに、多民族になりますから、いろいろな価値観があることは私もそうだと思います。しかし、そういう中で家族のきずなを大事にしようというのは決して憲法の議論としても排斥されるものではないのではないか。これは、法務大臣ではなく、一議員としての意見でございます。

辻元委員

法務大臣として寡黙であればいい、寡黙の方がいいというのは非常に高い御見識だと私は思っております。

なぜかといいますと、この前も申し上げたわけですよ。総理大臣が本会議場で、憲法の特定の条項、それも改正の手続という九十六条の改正を目指しますというようなことを堂々とおっしゃるということはお控えになった方がいいと、私は安倍総理にも直接予算委員会で申し上げたことを、谷垣法務大臣もその席にいらっしゃいましたので御記憶にあるかと思うんですけれども。これは先日も憲法審査会でも議論になりまして、行政とそれから国会、そしてさらには憲法改正議論のあり方はどうあるべきか。

総理は最近、ちょっと静まっているというか、静かにおなりになっているようですけれども、一時すごかったわけですよ。自民党総裁としてなぜ言っちゃいけないんだみたいなことを予算委員会でもおっしゃっていましたので、私はそういう態度はお控えになった方がいいということをたびたび申し上げてきました。

その上でちょっとお聞きしたいんですが、今御答弁いただきましたので。世界人権宣言は、十六条の三項で確かに家族のことに触れているんです。しかし、こう触れてあるわけですね。家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、この後です、社会及び国による保護を受ける権利を有する。国による保護を受ける権利を有するということを規定しているわけですよ。ですから、家族は助け合わなければならないという、ちょっとベクトルが違うように私は思うんです。

ですから、ハーグ条約も、先ほどから私は、ドメスティック・バイオレンス、事前に被害を聞いて、そして、これは被害の対応によっては修復されていく場合もあるし、いろいろあると思います。しかし、保護しなければいけないから、DV対応であったり家族のさまざまなトラブルに対して、一定それは個人の領域だけれども、保護するという観点からさまざまな法整備がなされるわけです。

助け合わなければならないということを憲法に入れると、助け合わなければならないという方向性での、これはだからといってDVを我慢しろという法律をつくるとは思わないんだけれども、方向性が違うわけですね。ですから、私はあえてこの点を申し上げたわけです。

ですから、世界人権宣言で言っていることは、私は、自民党であえて入れていらっしゃることと方向性が違うように思っております。いかがですか。

谷垣国務大臣

辻元委員の挑発に乗って余りしゃべらない方がいいのかなと思いますが、それは憲法審査会でまた十分御議論いただきたいと思います。

辻元委員

いや、これは大臣が今、世界人権宣言をお出しになったので、私の認識とちょっと違うなということで指摘を申し上げたわけで、法務大臣として世界人権宣言における家族のこの規定はしっかり理解していただかないと、もしも助け合わなければいけないというベクトルで世界人権宣言のこの条項、十六条を理解されているとすれば、私は法務大臣としてちょっと認識違いではないかなと思うから指摘申し上げたわけです。おっしゃったので、挑発ではないですよ。

ですから、やはり国が守るというか、保護を受ける権利を持っているという認識でいいですね。

谷垣国務大臣

人権宣言にはそう書いてございます。

辻元委員

そうなんですよ。

それで、もう一点、時間もありますので指摘させていただきたいんですけれども、いろいろなことをおっしゃっていて、前回、自民党は自主憲法制定というのがずっと党是であるということで、大臣の答弁に、「一番の問題は、当時、日本は要するに被占領国であった、主権が制限されている状況であった、その中でつくった憲法というのは、私は、いつか乗り越えなければならない、」これはどうやって乗り越えるのかなと。これはちょっとまた今度議論しますが、どうやって乗り越えるのかしら。その後、いろいろ大臣の御答弁を見ていると、揺れてはるんですよ。そして、「憲法改正をしたことがない、そのときに、第一条から、あるいは前文から最後まで全部一括かけたような、一くくりにしたような憲法改正の発議が果たしてできるものだろうかという思いが私にはずっとございました。」と。

実は、憲法というのは、私は、現行憲法によって、そのもとで、法治国家として、法務大臣としてのお仕事をしていただいていると思っているし、それには敬意を表しております。その上で、この条項があるために権利が侵害されるとか、この条項を改正してもらわないと自分たちの生活に非常に大きな支障を及ぼすという国民からの声がたくさん上がってきて初めて、それであるならば立法府はその要請に応えてこの条文についてはここを変えましょうかというのが、国際的に見ても憲法改正のあり方だと思います。

これはずっと議論したんです。なぜかといいますと、国民投票法をつくるとき、私は委員でした。国民投票法によると、全面改定はできないんです。条文ごとなんですよ、国民投票は。ですから、ここが問題だというところが出てきたらその条文について国民投票にかけましょうということで、全部これがいいだろうというのをかけることは想定していないんですね。これは自民党の船田筆頭に聞いていただければわかると思うんです。

そうすると、何のために全面改定のようなものをお出しになっているのか。

私は、国として、例えば、議論の中で、憲法についての新しい構想も出せないような政党は問題だみたいな発言をされる方もいらっしゃるんですが、諸外国から見たら、各党全部が、今の憲法よりこれがいいんだ、自民党みたいな全面改定のものをみんなこれだこれだといって、今の憲法よりこれがいいんだという政党が寄り集まってその国を統治していたら、今の現行憲法はそんなに問題なのか、では、一体、何を根拠にこの国は政治をしているのかということになりかねないわけですよ。

そんな国はないわけであって、ですから、占領軍に引きずられてというお気持ちはわかるんですけれども、私はここで何回も指摘させていただいていますのは、自民党総裁時代におまとめになった、自民党として、党是であったし、まとめられるのはいいんですけれども、しかし、法治国家のあり方として、では、各党がどんどんどんどん憲法の、これがいいんだ、これがいいんだと出してきて、どれとどれがいいか、そして、出せないのはあたかも何だか国の将来を思っていないみたいな姿勢をしながら政治をやっていく、法治国家として治めていくということは、私は問題があるというように思っております。

国民投票法も、これはかなり議論をいたしましたが、微修正というか、修正するところを変えていこう、追加するところがあれば追加しようということですので、そういう御認識も深めていただいて。答弁が、全面だと言っているかと思ったら、できるのかと思うんですといって揺れていらっしゃるので。

法治国家としてしっかり統治していくという御決意がございましたので、では、最後に一言だけいただいて終わります。

谷垣国務大臣

辻元委員の御意見はよく承りました。

辻元委員

終わります。