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安倍首相の「旧日本軍による真珠湾攻撃と米軍による長崎への原爆投下」に対する認識に関する質問主意書

2007.7.3

質問主意書

安倍首相の「旧日本軍による真珠湾攻撃と米軍による長崎への原爆投下」に対する認識に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。
平成一九年七月三日
提出者  辻元清美
衆議院議長  河野洋平殿

安部首相の「旧日本軍による真珠湾攻撃と米軍による長崎への原爆投下」に対する認識に関する質問主意書
一九九四年の第四九回国連総会で、核兵器使用の国際法上の違法性について、国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を要請する決議が採択された。 この決議を受け、一九九六年七月国際司法裁判所は、「核兵器の使用・威嚇は、一般的に国際法に違反する」という勧告的意見を示した。この勧告的意見は法的拘束力を持つものではないが、権威ある国際法廷が「核兵器は一般的に国際法に違反する」との判断を下した意義は大きい。
ところが久間章生防衛大臣は、一九四五年八月に米軍が日本に原爆を投下したことについて、
(一)「(米国は)日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。これなら必ず日本も降参し、ソ連の参戦を食い止めることができる、という考えだった。」
(二)「間違えば北海道まではソ連に取られてしまった。」
(三)「無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で」
(四)「今しょうがないなと思っている。」
と発言した(毎日新聞二〇〇七年七月一日朝刊)。
久間防衛大臣の発言に対しては、長崎への原爆投下そのものを容認するものではないか、と被爆者の方々から怒りの声があがっている。久間防衛大臣は、
(五)「日本が早く戦争を終わらせていれば、こうした悲劇が起こらなかったことも事実で、為政者がいかに賢明な判断をすることが大切かということを強調したかった」と発言の真意を説明した。
これに対し安倍首相は、「米国の考え方について紹介したと承知している。」と発言し、久間防衛大臣の発言を問題視しない姿勢を示した(毎日新聞二〇〇七年七月一日朝刊)。
また、七月一日に行われた党首討論で、「同盟は対等の関係。主張すべきことは主張し、米国に謝罪を求めるべきだ」という小沢民主党党首の発言に対し、
(六)「謝罪要求にエネルギーを費やすより、核廃絶に全力を挙げる」
(七)「小沢さんは自民党幹事長時代に当時の海部俊樹首相に米国へ謝罪を求めるべきだと言ったのか」
と述べた。
二〇〇七年八月九日、長崎では被爆から六一年目の「長崎原爆の日」を迎えようとしている。そして、一連の慰安婦問題をめぐる安倍首相の発言から、日本が戦前回帰に向かっているのではないか、と懸念する声がアメリカ世論で大きくなりつつある。
米国世論には、「旧日本軍による真珠湾攻撃がなければ原爆投下もなかった」という考え方がいまも根強い。二〇〇五年の米国内世論調査によれば、
(八)広島と長崎の原爆投下を「支持する」と答えた人が五七%
という結果も出ている。
しかし一方では、真珠湾攻撃も原爆投下も、人道的見地から間違っているという考え方も支持されている。安倍首相の真珠湾攻撃と原爆投下に対する認識、および平和構築に向けた姿勢を明らかにするのは急務である。
従って、以下質問する。

一 《国際司法裁判所の勧告的意見》について
1 久間防衛大臣はこの勧告的意見を知っているか。
2 安倍首相はこの勧告的意見を知っているか。
3 日本政府はこの勧告的意見を承認しているか。
二 《真珠湾攻撃》について
1 旧日本軍による真珠湾攻撃は、当時の日本としては正しい選択だったのか。やむをえなかったのか。間違った選択だったのか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
2 旧日本軍による真珠湾攻撃が、広島・長崎県民に多くの被害をもたらした原爆投下に関連していると考えるか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
3 旧日本軍による真珠湾攻撃が、沖縄県民に多くの被害をもたらした沖縄戦に関連していると考えるか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
二 《発言(一)~(四)》について
1 安倍首相は、これらの発言は久間防衛大臣が「米国の考え方について紹介した」という認識か。それとも、久間防衛大臣自身の考え方であるという認識か。(一)~(四)のそれぞれについて答えられたい。
2 久間防衛大臣自身の考え方であるならば、安倍首相は久間大臣と同じ考え方か。(一)~(四)のそれぞれについて答えられたい。
5 久間防衛大臣自身の考え方であるならば、これらは政府の公式見解か。(一)~(四)のそれぞれについて答えられたい。
三 《発言(五)》について
1 安倍首相もまた、「日本が早く戦争を終わらせていれば、こうした悲劇が起こらなかったことも事実」と考えるか。
2 安倍首相は、一九四五年七月二六日に出されたポツダム宣言について、すみやかに受諾すべきであったという認識か。また当時の政府がすみやかに受諾しなかった理由は何であると考えるか。
3 安倍首相は、長崎への原爆投下が、日本がポツダム宣言をすみやかに受諾する上で戦略上不可欠であった、とアメリカが考えていたという認識か。また、安倍首相自身も同じ認識か。
4 「日本が早く戦争を終わらせていれば、こうした悲劇が起こらなかったことも事実」というのは政府の公式見解か。
5 安倍首相は、長崎への原爆投下が戦争終結を早め、より多くの米国人の命を救ったという認識か。
6 安倍首相は、長崎への原爆投下が戦争終結を早め、より多くの日本人の命を救ったという認識か。それとも犠牲者を増やしたという認識か。
四 《発言(六)》について
1 安倍首相は、アメリカに対し、全力を挙げて核廃絶要求をしていくのか。
2 安倍首相は、インドに対し、全力を挙げて核廃絶要求をしていくのか。
五 《発言(七)》について
1 安倍首相は、アメリカは広島・長崎への原爆投下について「謝罪すべき」という認識か。
2 安倍首相は、広島・長崎への原爆投下についてアメリカに謝罪要求をしたことはあるか。したとすれば、アメリカはどのような回答をしたか。していないのであれば、しない理由を明らかにされたい。
3 安倍首相は、今後アメリカに対し謝罪要求を行うか。
4 小沢民主党代表が自民党幹事長時代にアメリカに謝罪要求をした、もしくは謝罪要求をすべきと首相に提言したという事実がなければ、アメリカに謝罪要求をする必要はない、という認識か。同発言における、安倍首相の真意を示されたい。
六 《米国内の世論調査(八)》について
1 安倍首相は、同調査結果を承知しているか。
2 安倍首相は、「半数以上の米国民が原爆投下を支持している」という結果について、アメリカに対し何らかの働きかけをしていくのか。
右質問する。