辻元清美 official website

News

小泉内閣の歴史認識に関する質問主意書

2006.1.20

質問主意書

平成一八年一月二〇日
提出者 辻元清美
衆議院議長 河野洋平殿
中国、韓国をはじめアジア近隣諸国との間で良好な関係を維持、発展させていくことが日本にとって大変重要であることは多言を要しない。しかし、小泉首相の靖国神社参拝が契機となり、アジア諸国との関係は深刻な事態に陥っている。このような憂慮すべき状況がもたらされた根本的な原因は、小泉内閣の歴史認識、特に戦争責任に関する認識に対するアジア諸国からの不信感であると思われる。このような不信感を払拭することは、アジアの近隣諸国と未来志向の良好な関係を築くために喫緊の課題である。
小泉純一郎首相は政府としての歴史認識を問われ、例えば二〇〇五年五月一六日の衆議院予算委員会での民主党の菅直人議員の質問に対する「村山談話、これは日本内閣として、政権がかわっても同じ認識を持っているわけであります」という答弁や、同年のアジア・アフリカ会議、いわゆるバンドン会議五〇周年での演説などにおいて、一九九五年八月一五日の村山内閣総理大臣談話を踏襲していると思われる発言を繰り返している。
そこで、小泉内閣の基本的な歴史認識を明らかにするため、「村山内閣総理大臣談話」(以下「村山談話」という)に関する現政府の見解について質問をする。

  1. 村山談話は、「先の大戦が終わりを告げてから、五〇年の歳月が流れました。今、あらためて、あの戦争によって犠牲となられた内外の多くの人々に思いを馳せるとき、万感胸に迫るものがあります」と始まる。
    ここでいう「先の大戦」「あの戦争」について、小泉内閣は、何年何月に始まり、何年何月に終わった、どのような名称の戦争を指すと解しているのか(複数存する場合にはそのすべて)を明らかにされたい。
  2. 「私たちは過去のあやまちを2度と繰り返すことのないよう」にとする村山談話における「過去のあやまち」について、小泉内閣は、いつ、だれが、何をしたことを「あやまち」と解しているのか、その内容を具体的に明らかにされたい。
  3. 「歴史の教訓に学び」とする村山談話における「歴史の教訓」について、小泉内閣は、どのような教訓と解しているのか、その内容を具体的に明らかにされたい。
  4. 村山談話は、「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」としているが、小泉内閣は、国策を誤った主要な責任は誰にあると認識しているのか、人物名と役職を挙げて明らかにされたい。仮に、人物名で答えられない場合は、その理由を明らかにされたい。
    また、どのように国策を誤ったと解しているのかを明らかにされたい。
  5. 「この歴史がもたらした内外すべての犠牲者」とあるが、「内」と「外」はどこで分かれるのか(国境を以って分ける場合には、何年何月何日現在の国境か)及び「犠牲者」の意味について、小泉内閣はどのように解しているのかを明らかにされたい。
  6. 右質問五で定義される「犠牲者」には、靖国神社に祀られている「極東国際軍事裁判所(日本国との平和条約一一条参照)によって有罪とされた者」も含まれると解しているのかを明らかにされたい。
  7. 質問五で定義される「犠牲者」中、下記の各項目に該当する者について、小泉内閣が把握しているそれぞれの数を明らかにされたい。
    1. 海外で死亡した
      • ア 日本人軍人及び軍属並びにそれ以外の日本人(民間人)
      • イ 朝鮮半島出身の日本国軍人及び軍属並びに台湾出身の日本国軍人及び軍属
      • ウ 当時日本軍に徴用され死亡した朝鮮半島出身者及びそれ以外の朝鮮半島出身者(民間人)
      • エ 当時日本軍に徴用され死亡した台湾出身者及びそれ以外の台湾出身者(民間人)
      • オ 当時日本軍に徴用され死亡した近隣アジア諸国民
      • カ 上記以外の近隣アジア諸国民
    2. 日本国内で死亡した
      • ア 日本人軍人及び軍属並びにそれ以外の日本人(民間人)
      • イ 当時日本軍に徴用され死亡した朝鮮半島出身者及びそれ以外の朝鮮半島出身者(民間人)
      • ウ 当時日本軍に徴用され死亡した台湾出身者及びそれ以外の台湾出身者(民間人)
  8. 「とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」とする村山談話における「損害」について、小泉内閣はどのような損害を与えたと認識しているのか、その内容を具体的に列記して明らかにされたい。
  9. 村山談話には、「また、現在取り組んでいる戦後処理問題についても、わが国とこれらの国々との信頼関係を一層強化するため、私は、ひき続き誠実に対応してまいります」とあるが、この部分に関しても、小泉内閣は村山談話を踏襲していると理解してよいか。そうであれば、小泉内閣として現在取り組み、あるいは過去において取り組んだ戦後処理問題について、その内容を具体的に列記して明らかにされたい。
  10. 村山談話と同じ歴史認識を小泉内閣が踏襲しているか否かについて、アジア近隣諸国がどのように理解していると認識しているのかを明らかにされたい。併せて、その認識の根拠を示されたい。

右、質問する。