辻元清美 official website

News

カルデラ噴火の兆候把握等に関する質問主意書

2014.6.18

質問主意書

平成二十六年六月十八日提出
質問第二七五号

カルデラ噴火の兆候把握等に関する質問主意書
提出者  辻元清美

カルデラ噴火の兆候把握等に関する質問主意書

 九州電力川内原子力発電所は現在、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が行われているが、原子力発電所から約五十キロメートルにある姶良(あいら)カルデラとよばれる巨大な火山におけるカルデラ噴火(巨大噴火、破局的噴火とも呼ばれる)による影響が懸念されている。姶良カルデラは、桜島を含む、鹿児島湾北部が一つの巨大な火山になっており、約三万年前にはカルデラ噴火が発生したことが確認されている。この時に発生した火砕流について、九州電力は川内原子力発電所の敷地に到達した可能性を認めている。
 このカルデラ噴火の可能性については、火山学者から多くの警告が出ている。にも関わらず原子力規制委員会が、火山学者抜きで、巨大噴火の兆候の把握が可能であることを前提に審査を実施していることに対しては有識者からも強い批判が出ており、近隣自治体からも懸念の声が示されている。
 火砕流が川内原子力発電所に及ぶようなカルデラ噴火の兆候把握時の対処については、核燃料の避難が必要だが、これには、避難先の選定、避難手段の確保、避難の実施、燃料の冷却等の長期にわたる措置が伴うと考えられる。使用済み核燃料を含む核燃料の避難について「どのような措置を要求するのか」「最大でどの程度の時間を要するのか」という質問(四月二十八日質問主意書)に対し、政府は「新規制基準における適合性審査を実施中であることから、現時点でお答えすることは困難である」と回答している(五月十三日答弁書)。
 以下、質問する。

一 カルデラ噴火における避難措置について
 1 現時点で、川内原子力発電所に貯蔵されている使用済み核燃料は何体で、総量は何トンか。
 2 使用済み核燃料を含む核燃料について、何らかの避難措置が必要であるという認識か。また、避難措置の具体について、これまでに検討はされているか。検討されているのであれば、いつ、どの機関・委員会でされているのか。そこでは、最長でどの程度の期間が必要となるかについての検討が行われ、一定の結論を得たのか。検討されていないのであれば、今後、いつ、どの機関・委員会でされる予定か。
 3 火砕流が川内原子力発電所に及ぶようなカルデラ噴火の兆候把握時の対処については、上記に例示したような核燃料の避難が必要になると考えられることから、単に「噴火時期が近い」という漠然とした把握だけでなく、噴火の様式や規模、具体的な時期を含めた兆候の把握が、想定される噴火時期の数年前から必要と考えられるが、政府の認識を明らかにされたい。

二 カルデラ噴火の兆候把握について
 1 政府は、これまでに「火山噴火の兆候を数年前に把握した事例」を把握しているのか。
 2 平成二十六年五月二十八日の参議院原子力問題特別委員会において、櫻田道夫原子力規制庁原子力規制部長は、噴火の兆候の把握について、「例えば鹿児島県の新燃岳の二〇一一年一月の中規模噴火というのがございました。その際には、その噴火の規模や噴火の様式は予測できなかったということではありますけれども、火山活動の高まりがあったということで、前の年の五月に噴火警戒レベルを一から二に引き上げ」た事例について答弁している。これは噴火を予測できた事例ではなく、噴火の兆候を把握した事例でもないと考えるが如何か。
 3 平成二十六年五月二十八日の参議院原子力問題特別委員会において、田中俊一原子力規制委員長は、カルデラ噴火の兆候の把握ができる可能性がある根拠として、地中海のサントリーニ火山のミノア噴火の例をあげた。噴火前の約百年の間にマグマが急速に供給されたことが、岩石学的調査から明らかになったというものだが、次の姶良カルデラにおけるカルデラ噴火が、サントリーニ火山の、過去一回のミノア噴火と同じ形式で起こると想定して、当該事例を挙げたのか。そうであれば、政府がそう想定した根拠は何か。そうでなければ、ミノア噴火は、カルデラ噴火の兆候の把握ができる可能性がある根拠としてはふさわしくない事例と考えるがいかがか。
 4 この件について、二〇一四年三月十九日の適合性審査会合の場で、島崎原子力規制委員長代理は、ミノア噴火が日本の事例ではないことを問題にし、もし日本の事例で、マグマの供給が万年単位であれば、立地不適になると指摘した。これに対し九州電力は、「問題のカルデラについて、調査の準備をしている」と回答した。政府はこの調査結果について報告を受けたのか。受けていれば調査結果を明らかにされたい。受けていなければ、至急報告を行うよう九州電力に申し入れるべきであると考えるがいかがか。
 5 少なくともこの調査結果が明らかになるまでは、兆候の把握ができない可能性が否定できないことから、適合性審査を終えることはできないと考えるがいかがか。
 6 九州電力は、カルデラ噴火の兆候の把握ができる可能性がある根拠として、カリフォルニアのロングバレー火山の事例も挙げているが、この場合、マグマの供給が急速になる期間は、最大で三千年もあり、ミノア噴火の事例よりも緩慢であることから、姶良カルデラに適用した場合、供給速度の変化を捉えられない可能性があると考えられるが、政府の認識はいかがか。
 7 ミノア噴火及びカリフォルニアのロングバレー火山の事例以外に、カルデラ噴火について兆候の把握ができるとする可能性を示す根拠はあるのか。
 8 平成二十六年五月二十八日の参議院原子力問題特別委員会において、田中俊一原子力規制委員長は、火山噴火予知連絡会が「専門の火山予知連の方とも協力をしながら、今後のカルデラ噴火、そういったものについての研究も含めて、データの蓄積も含めて、あるいはデータの解釈も含めて、規制委員会としてはそれをリードしていきたい」と答弁している。カルデラ噴火についての研究が必要であるとしているのは、現状で、カルデラ噴火の兆候の把握についての知見が不十分であるとの認識か。
 9 原子力規制委員会が「リード」するとしているカルデラ噴火の研究について、研究対象に姶良カルデラは含まれないとする報道があるが、それは事実か。そうであれば、研究対象に姶良カルデラを含まない理由を明らかにされたい。
 10 「火山影響評価ガイド」は、「原子力発電所に影響を及ぼす火山影響評価の基本フロー」における「立地評価」として、「(火砕物密度流、溶岩流等の)設計上対応不可能な火山事象が原子力発電所運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分に小さい」と判断された場合でも、「火山活動のモニタリング及び火山活動の兆候を把握した場合の対処方針」の策定を義務付けている。この点に間違いはないか。したがって、「火山活動の兆候を把握した場合の対処方針」が策定されない場合は、適合性審査を終えられないと考えるが、政府の認識はいかがか。
 11 同「立地評価」において、具体的には兆候把握時の対処方針、判断基準等を適切に定めることを要求しているが、カルデラ噴火について兆候の把握ができない可能性がある場合には、事業者が策定する兆候把握時の対処方針、判断基準等が適切なものかどうかを判断することはできず、現時点で、適合性審査を終えることはできないと考えるが、政府の認識はいかがか。
 12 二〇一四年四月二十八日福島みずほ議員提出質問主意書(以下四月二十八日質問主意書)において、火砕流が川内原子力発電所に及ぶようなカルデラ噴火の「前兆をとらえることができるのか」という質問に対し、政府は五月十三日の答弁書で「地殻変動等の監視を行うことにより、噴火の前兆をとらえることが可能な場合もあると考えられる」(以下五月十三日答弁書)と答えている。では、火砕流が川内原子力発電所に及ぶようなカルデラ噴火の前兆をとらえることが不可能な場合もあるという認識か。それは、どのような場合を想定しているか。
 13 「火山影響評価ガイド」は、カルデラ噴火を含む火山噴火について兆候の把握ができることを前提としているが、少なくともカルデラ噴火については兆候の把握ができない可能性もあり、その点で大きな不備があるといえるのではないか。政府は、これを見直すつもりはあるのか。
 14 平成二十六年四月二十三日の適合性審査会合において、島崎原子力規制委員会委員長代理は、「火山活動の兆候把握時の対応」に関わる判断基準について、火山学者を集めての検討を、原子力規制委員会としても実施する旨発言した。しかし片山啓原子力規制庁審議官は、同月二十五日の記者会見で、規制が要求するのは「火山活動のモニタリング」であり、その後の対応は「中長期的な課題」「審査後の課題」としている。片山審議官の発言の主旨は、「火山活動の兆候を把握した場合の対処方針」は、「中長期的な課題」「審査後の課題」ということか。そうであれば、原子力規制委員会が自ら定めた「火山影響評価ガイド」の「原子力発電所に影響を及ぼす火山影響評価の基本フロー」に反するために、発言は取り消されるべきではないか。片山審議官の発言が正しいとすれば、「火山影響評価ガイド」が間違っていることになるが、いつから政府方針は変わったのか。またその場合は、「火山影響評価ガイド」の早急な見直しが行われるべきと考えるがいかがか。見直しが行われるとするならば、その間の適合性審査はできず、あらたな「火山影響評価ガイド」のもとで「立地評価」を初めからやり直すべきと考えるがいかがか。

 右質問する。