つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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「撃ち方やめ」報道に関する質問主意書

2014.11.10

質問主意書

平成二十六年十一月十日提出
質問第六六号

「撃ち方やめ」報道に関する質問主意書
提出者  辻元清美

「撃ち方やめ」報道に関する質問主意書

1 二〇一四年十月三十日、朝日新聞が「これで『撃ち方やめ』になればいい――。安倍晋三首相は二十九日の側近議員との昼食会で、民主党の枝野幸男幹事長を巡る政治資金の問題が発覚したことを受け、こう述べた。野党の追及が弱まることを期待した発言だが、かえって反発を買う可能性もある。」(朝日記事一)と報じたことを受け、安倍首相は、十月三十日の衆議院予算委員会で、枝野幸男委員の質問に対し左記の答弁を行っている。

  「今日の朝日新聞ですかね、撃ち方やめと私が言ったと。そういう報道がありました。これは捏造です。」(答弁一)
  「朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としているとかつて主筆がしゃべったということでございますが、これはブリーフをした萩生田議員に聞いていただければ明らかでありまして、私に確認すればすぐわかることです、私が言ったかどうか」(答弁二)

2 しかし、この発言については、同月二十九日~三十日にかけて、各報道機関とも以下のように報じている。

  「安倍晋三首相は二十九日、自民党の萩生田光一総裁特別補佐と党本部で会談し、閣僚や枝野幸男民主党幹事長らの政治資金問題を念頭に「誹謗中傷合戦は国民の目から見て美しくない。『撃ち方やめ』になれば良い」と語った。」(二〇一四年十月二十九日、共同通信)
  「安倍首相は二十九日、党本部で自らに近い議員に会った際、『枝野氏の話が出て、(民主党が)『撃ち方やめ』となればいい。誹謗中傷合戦になると、国民から見て美しくない』と語った。」(二〇一四年十月三十日、読売新聞)
  「安倍晋三首相は二十九日、自民党本部で萩生田光一総裁特別補佐らと意見交換。首相は、民主党の枝野幸男幹事長の政治資金問題が発覚したことを念頭に「撃ち方やめ、になればいい」と述べ、国会審議の焦点が、閣僚の疑惑追及から政策論争に移ることに期待感を示した。」(二〇一四年十月三十日、毎日新聞)
  「安倍晋三首相は自民党本部で側近議員らと会い、与野党の『政治とカネ』問題について『誹謗中傷合戦になるのは美しくない。撃ち方やめになればいい』と語った。」(二〇一四年十月三十日、日本経済新聞)
  「『中傷合戦は美しくない。撃ち方やめになればいい』首相は二十九日、官邸で面会した自民党の萩生田光一総裁特別補佐にこう語った。」(二〇一四年十月三十日、産経新聞)

3 安倍首相の答弁に対し、二〇一四年十月三十一日、朝日新聞は以下のように報じ、見解を述べている。

  「朝日新聞が取材した出席者は三十日夕、『撃ち方やめ』は自分の発言だったと述べ、首相の発言だとしていたこれまでの説明を修正した。この出席者は二十九日の昼食会後、複数の報道機関の記者に対して首相の発言として説明していた。」(朝日記事二)
  「記事は意図的に話をつくった捏造ではなく、取材にもとづいて書いたものです。」(朝日見解一)
  「また、朝日新聞社に『安倍政権を倒す』という社是はなく、主筆が話したこともありません。」(朝日見解二)

4 こうした報道を受けて安倍首相は、十月三十一日の地方創生に関する特別委員会では、渡辺周委員の質問に対し左記の答弁を行っている。

  「こういう捏造というのはなぜ起こったかということが問題であって、それはまさに、安倍晋三を攻撃しようという意思があって記事を書くからこういうことになるわけでありまして、そこの中においてやるべき取材を全くやっていないというのは、これは大変な問題(略)報道というのはそういう責任感のもとにちゃんと実行していただきたい、こう思うわけであります。」(答弁三)

 以下のとおり、質問する。
一 「撃ち方やめ」を安倍首相の発言と報じた朝日記事一が「捏造」とした安倍首相の答弁一について。
 1 安倍首相は、答弁一を行うより前に、共同通信、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞等の記事は読んでいなかったのか。日頃より、事務方が安倍首相に、朝日新聞とその他の報道機関の報道を分けて伝えた事実はあるか。
 2 安倍首相は、共同通信、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞等の記事も「捏造」という認識か。そうでないとすれば、朝日新聞の記事と他の記事との違いは何か。
 3 安倍首相は、右各記事があるにも関わらず、なぜ朝日新聞の記事だけに言及したのか。

二 安倍首相は答弁二で「朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としているとかつて主筆がしゃべったということでございます」と答弁したが、朝日新聞は朝日見解二で「朝日新聞社に『安倍政権を倒す』という社是はなく、主筆が話したこともありません。」と述べている。
 1 「朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としている」とあるが、これは、いつ、どこで、誰が、誰に対して行った発言か。また、安倍総理はどうやってその発言を知り得たのか。具体的に述べられたい。
 2 このような「社是」が朝日新聞社にあるかどうかは、同社に確認すればすぐわかることであるが、安倍首相は、この点について事前に確認したか。していないのであれば、事前確認を怠ったまま答弁した理由はなぜか。

三 安倍首相は答弁二で「ブリーフをした萩生田議員に聞いていただければ明らか」と答弁している。
 1 安倍首相は、答弁一を行うより前に、「朝日新聞が取材した出席者」が「撃ち方やめ」を安倍首相の発言であると各報道機関に伝えていたことを知っていたか。知っていた上で、朝日新聞の「捏造」である、と答弁したのであれば、安倍首相の答弁一は「捏造」に相当し、知らずに答弁したのであれば、安倍首相の答弁一には重大な過失があると考えるか。
 2 安倍首相は答弁二で「ブリーフをした萩生田議員に聞いていただければ明らか」と答弁しているが、「朝日新聞が取材した出席者」は、萩生田光一総裁特別補佐で間違いないか。
 3 安倍首相は、答弁二で、「私に確認すればすぐわかることです」と述べているが、安倍首相は、総裁特別補佐が話した内容であっても、安倍首相本人に確認しなければ、その話の真偽は不明と考えるべきであるとの立場をとっているのか。また、安倍首相は、報道機関が、総裁特別補佐の発言の真偽の確認を求めたときには、これに遅滞なく回答する意向と態勢を有していると理解してよいか。

四 安倍首相は、答弁三で、「安倍晋三を攻撃しようという意思があって記事を書くから」、「捏造」が起きたと断定している。このような「意思」が朝日新聞社にあるかどうかは、同社に確認すればすぐわかることであるが、安倍首相は、この点について事前に確認したか。していないのであれば、事前確認を怠ったまま答弁した理由はなぜか。

五 安倍首相は、朝日新聞の「捏造」であるとした自身の答弁に誤りがあったと認められる場合、答弁一~三等を修正する準備はあるか。
 右質問する。