つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2014年8月7日 原子力問題調査特別委員会

2014.8.7

議事録

先日、原子力規制委員会は、十六日になりますけれども、再稼働を目指す九州電力川内原発が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承いたしました。

この後、安倍総理は、再稼働に向けて進めたいというような発言も昨日もされておりますけれども、本日は、これを了としていいのか、そして再稼働に向けて進めていいのか、多方面から、田中委員長を中心にお聞きをしていきたいと思います。
それに先立ちまして、九州電力は当事者のお一つですから、九州電力を本委員会にお呼びして、そして、この安全基準、どのように対策をなさったのか、直接私は質問したいということでお願いいたしました。しかし、自民党の反対で九州電力をこの場にお呼びすることができなかったことをまことに遺憾だと思っております。
引き続き九州電力の出席を求めてまいりますので、委員長、お取り計らいを引き続きよろしくお願いいたします。

○森委員長

本件につきましては、さきの理事会で委員長としての判断をいたしましたので、原則として御了承願います。

○辻元委員

 御了承願いますということはできません。
というのは、この再稼働をめぐる議論は、国民が非常に関心を持っております。ですから、電力会社も堂々と国会の委員会に出席して、これで万全だという対策をお出しになった当事者ですから、やはり各委員の質問にも、国民の代表者たる委員の質問にも私はお答えになるべきだと思いますので、引き続き、後でこの件は申し上げますけれども、要求してまいりたいと思います。
まず最初に、火山の問題についてお聞きをいたします。
この川内原発をめぐる自然災害で最も脅威となるのが、周辺に五つあるカルデラの巨大噴火と言われております。これは、他の原発とちょっと事情が違う特殊事情であると思います。
まず最初に、田中委員長にお聞きします。
九州電力は、今回、巨大噴火の予兆は数十年前に察知できるという前提なので、そのときに対処を検討するという方針をお出しになって、そして田中委員長も、破局的噴火は相当前から予知できるというような御発言も今までされておりますが、この認識でよろしいでしょうか。

○田中(俊)政府参考人

 まず、原子力発電所の火山に対する対策、これを審査するに当たっては、火砕流などの設計対応不能な事象が発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分に小さいかどうか、ないかどうかということを確認するということにしております。
申請者によりますと、川内原発に一番近いカルデラは姶良カルデラと言われるところでございますけれども、姶良を含む鹿児島地溝での破局的噴火の平均発生間隔は九万年以上と言われています。
最新の破局的噴火からの経過時間は約三万年でございますので、今後しばらくの間は、相当長期にわたってそういった活動はないものということでございますが、念には念を入れて、GPSによる地殻変動等の観測データとか、微小地震の震源分布、あるいは地下の地震波速度構造等について、マグマ供給の状態を随時観測、モニタリングをしていくということによって、そういったカルデラ噴火の予兆を早急に、早期に見つけるということにしております。
そういうことで、そういった歴史的な状況も踏まえ、また今の現在のいろいろなGPS等のデータ等を踏まえまして、私どもとしては、本原子力発電所の活動中にこういったカルデラ噴火の可能性は十分小さいということで判断したところでございます。
ただし、そうは申しましても、先ほど申し上げましたように、こういったものについては自然現象でございますので、十分にそういったモニタリングについてはきちっと行っていく、そのモニタリングのデータの解析についてもきちっとやっていく、継続的にやっていくということで対応しているところでございます。

○辻元委員

 今、原子力発電所の稼働中、この期間は影響が出ないだろうということですが、どれぐらいの期間を想定されているわけですか。

○田中(俊)政府参考人

 法律では、設置から四十年、さらに延ばして二十年ですから、最大六十年です。川内はもう三十年たっていますから、仮にこれから延ばしても、三十年ぐらいの間にはそういったことは起こらないというふうに判断しています。

○辻元委員

 この津波のときも、千年に一回ということで、起こらないだろうと。津波の問題についても、多くの議員が委員会でも指摘してきた。しかし、起こらないだろうということでした。
特に、この火山の噴火について、ピナツボ火山、これは巨大噴火ではございませんけれども、あれが起こったとき、私ははっきり覚えております。クラーク空軍基地も全部使えなくなりました。ですから、この知見が、九万年だろうということが言われていますということなんですね。
そこで、お聞きしますけれども、先ほどGPSなどを使ってということですが、委員長がおっしゃっているように、破局的噴火は相当前から予知できるというこの点についてはいかがですか、そのとおりだとお考えですか。

○田中(俊)政府参考人

 今、姶良カルデラの破局的噴火が起こるということになりますと、大体どれくらいの噴出量になるかといいますと、大体山手線ぐらいの広さで、深さが一キロぐらい……(辻元委員「予知できるかどうか」と呼ぶ)
その程度の噴火が起こるということになりますと、相当量のマグマの供給がないと、そういった爆発には至らないということでございますので、そういうことを考慮しますと、マグマがそれだけたまってくれば、相当いろいろな地震も起こりますし、地形変動も大きくなってくるということで、ある程度それは予測できるのではないかというふうには判断しておりますが、今後とも、そのカルデラ噴火についての研究が十分かどうかということになりますと、なかなか、カルデラ噴火がもし仮に起こりますと、かつての歴史からいうと、九州全域がほとんど人が住めなくなるような状況になりますので、そういったことがありますので、火山学者も余り研究をそこにタッチしてきておりませんでした。
そういうことを踏まえて、今回は、そういうことではなくて、こういう機会ですから、そういった研究もぜひプロモートしていきたい、そのように考えています。

○辻元委員

 今、幾つか重要なことをおっしゃいました。マグマがたまると地震が起こるんですか。今、委員長はそうおっしゃいました。そういう予兆があるという御認識ですね。
それから、もう一点。かつての噴火のようなものがこの地域で起これば、九州全域が影響を受けるということでよろしいですね。

○田中(俊)政府参考人

 一般の火山でもそうですけれども、火山が起こる予兆として、マグマがたまってくると微小地震が相当頻発してくるということで、今、一般の火山についてはそういった火山予知ということが行われております。そのレベルによって、気象庁がいろいろな警報を発しているというふうに承知しております。
それから、歴史的に見ますと、いわゆるカルデラ噴火が起こったときは非常に広範な範囲にその影響が及ぶということも、これも歴史的事実でありますので、そういったことを踏まえて申し上げたところでございます。

○辻元委員

 実は、この件は、私は、政府に対して質問主意書を何回も出しております。これへの政府の答弁は、六月二十七日付答弁書ではこのように答弁されています。「カルデラ噴火については、その前兆を捉えた例を承知しておらず、」かつての噴火が起こったときの「例を承知しておらず、噴火の具体的な発生時期や規模を予測することは困難である」、これは、質問主意書での政府の正式な答弁なんですよ。このとおりでいいんですか。
そうすると、九州電力は、予兆は数十年前に察知できるということが前提なので、そのときから対応を検討すると言っていることを了としているわけですけれども、矛盾するんじゃないですか。いかがですか。政府は、予測できないと質問主意書で答えているわけですよ。いかがですか。

○田中(俊)政府参考人

 予測というのは、非常にいろいろな幅広い概念がありまして、あした起こるかもしれないとか、一年後か、十年後か、百年後か、そういう非常に大きなスパンであろうと思います。
通常、気象庁等が発表しております火山予知というのは、火山活動が活発になってきましたから注意してくださいというようなことが出ますのが、大体一年ぐらい前から出ているように私は承知しております。
そういった精度での予測ができないということを申し上げているのであって、確かに、先生御指摘のように、カルデラ火山は、先ほど申し上げましたように、そういった精度で予測できるような状況には全くないということは確かであります。

○辻元委員

 では、今、予測は一年ぐらい前とおっしゃって、予測はできない、しかし、予兆はある。予兆は何年ぐらい前にあると考えられているわけですか。

○田中(俊)政府参考人

 外国の例が一件あるだけでございますけれども、これは、相当、数十年前からそういった予兆はあるように伺っておりますけれども、そういった研究の例が非常に少ないということがありますので、今後、日本としては、やはりそういったきちっとした研究調査をしていくべきだというふうに思っています。

○辻元委員

 その例は、数十年前というのは、二十年前ですか、五十年前ですか。これはその後の対処方針と随分かかわってくるので、委員長はその例をおっしゃったので、数十年前というのはどれぐらい前のことを指しておりますか。

○櫻田政府参考人

 今、直接の御質問のありました、委員長の答弁したところのその期間について、今正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、川内原子力発電所の審査においては、海外の知見あるいは論文等を用いまして、九州電力が、こういう知見があるというその中で、十年単位あるいは百年単位の間隔で通常の状態から外れたような状態になる、そういうような知見が紹介されたということがございました。
私どもが今審査をしている段階で申し上げておりますのは、先ほど冒頭に委員長が申し上げました、現時点において、この発電所の運用期間中にカルデラ噴火のようなものが起きるかどうか、その可能性がどのくらいあるのか、そういう話をしているわけでございまして、実際にカルデラ噴火に至るようなことがこれから観測できるのかという話とはちょっと違いまして、現時点において、これまでの状況を見ている限りにおいて、発電所の運用期間中にカルデラ噴火が起きるような可能性は十分小さいという、その点については私どもとしては了とした、こういうことでございます。
今後、モニタリングを進めていく。モニタリングを進めていく中で、どのような兆候を把握したときに事業者が措置を講じることにするのか、こういったことについては、今のところまだ詳細なところは決まっておりません。

○辻元委員

 予兆は一件しかないと。それで、今十年か百年と言ったんですよ。物すごくあやふやで、かつ、いや、九万年らしい、それで三万年前にあったらしいからないと。しかし、大噴火が起こったら九州全域が破壊されるという御答弁なんですよね。
では、お聞きしたいと思いますけれども、今回、それは九州電力の言っていることをうのみにしていると思いますよ。というのは、お一人の火山学者にしかヒアリングしていないんじゃないですか。
このヒアリングされた学者の方が憤っていらっしゃいます。何らかの噴火の前兆はつかめるが、それは大きな噴火か小さな噴火のままの兆候か、火山学的にはその時点ではわからない、何が起こるかわからない、いつ起こるのかもわからないと。ところが、そういう発言をしたが、大きな噴火の前兆を捉えられるという話にすりかえられてしまったというように発言をされています。
九州電力は、予兆があるから、予兆があったときに対策をすればいいということを示しているようです。GPS、先ほどおっしゃった観測などで噴火の予兆を監視し、カルデラ周辺の地盤の動きなどで異常が確認されれば、原発をとめて核燃料を緊急輸送すると言っている。予兆があったら原発をとめて核燃料を緊急輸送する。
それでは、委員長にお聞きしたいですけれども、核燃料を緊急輸送する場合に、放射線と高熱を発していますので、はいはい、こっちからあっちと輸送できないですよね。核燃料は、緊急輸送する際においても、何年間ぐらいプールで冷やしてからじゃないと動かせないとお考えですか。

○田中(俊)政府参考人

 通常の使用済み燃料の輸送の場合には、ミニマム三年、五年程度冷却してから燃料を運ぶというのが普通になっております。

○辻元委員

 五年程度とおっしゃいました。そうすると、予兆を観測して五年程度まず冷やしておかなきゃいけない。
さっき、予兆の間隔はどれぐらいかといったら、十年か百年かというとても曖昧な御答弁をされましたけれども、では、これは九州電力が原発をとめて核燃料を緊急輸送するんだと言っているので、この点に絞って幾つか。
まず、五年ですね。そうすると、この対策を了とするに当たって、万一あったとき、緊急輸送で核燃料を別の場所に輸送し終わるということは、川内原発の中にある核燃料をどこかに輸送するわけですから、受け入れてくれる相手も見つけておかなきゃいけないですよね、あらかじめ。そういうことを全て終了するまでは何年ぐらいと見ているんですか、緊急輸送が終わるまで。
どういう計画で、どこに。もう予兆があったから冷やしておかなきゃいけないし、今からどこに輸送するかを探して相手と交渉して、それから、核燃料を輸送する際の容器というのは非常に特殊な容器が必要ですから、それを用意して、しかし、緊急輸送するということを出していますけれども、いや、起こりっこないからそこまでしなくていいよ、予兆はどうせ来ないから、予兆が来たときにやればいいよという方針なのか、緊急輸送する場合はどこに輸送するということを、火山のリスクがあるから、一たび起こったら九州全域だから、この危険性があるから今から用意をしておきなさい。どちらですか、委員長。

○田中(俊)政府参考人

 緊急時の燃料の搬出、輸送に関しては、燃料体の種類とかその状態、それから、数量、輸送容器の仕様等によりますので、そういったことについては検討しておく必要があると思いますけれども、今ここで、どれくらい期間がかかるかとか、そういったことについて一概にお答えすることはちょっと困難でございます。

○辻元委員

 なぜかといいますと、火山は特殊なんですよね。福島の教訓を生かして、津波等についてはかなり議論もされました、地震についても。しかし、火山については全く手つかずだからこそ、ここを一番手厚く議論して対応を考えておかなきゃいけない点じゃないんですか。委員長、いかがですか。
今みたいな、いや、それは、ここでそこまで対応しなきゃいいというようなあやふやな対応で、この審査書を了としていいんですか。いかがですか。それとも、もうやはり火山の噴火はないからいいや、どっちですか。どこまでやるんですか。委員長です。ちょっと委員長、どこまでやるんですか。どこまで対応させるんですか。もう一回言ってください。

○田中(俊)政府参考人

 火山を含めまして、今回、初めて新しい規制基準でこういったことについての審査を始めたところでございます。
ですから、火山はいいやというような判断は全くしておりません。火山による影響の重大性ということについても十分に審査をして、火砕流が届くような場合にはそこは立地不適当という判断をしておりますし、仮に届かない場合でも、火山灰が川内の場合は十五センチ、これまで桜島の噴火なんかで最大積もった火山灰の量が大体十二センチ程度ですので、それに余裕を見て十五センチ程度の降灰があってもきちっと安全が確保できるようにというようなことで、火山に対しては相当慎重に審査をさせていただいております。

○辻元委員

 火山灰の話が出ましたが、現地で私、バス会社の人とかにいろいろヒアリングしたら、火山灰が十五センチたまったら車は走れないと言っているんです。原発の構内の車は走れませんよ。それで、これも九州電力が、四十三人がたしか八交代で火山灰をかき出すんだというのを書いていますけれども、そんなことで対応できないです。
私が申し上げているのは、緊急時に燃料棒を取り出すと、大噴火の場合の話、これは不十分じゃないかと申し上げているわけですよ。
今いろいろ確認しましたけれども、ではどこに持っていくのかも含めて、それは予兆があってからでいい、そういう準備は事前にしなくていいということですか。もう一回確認します。委員長です。

○櫻田政府参考人

 先ほど予兆の時間間隔の話を申し上げましたが、先ほど私が答弁したのは、十年と言ったわけではなくて十年単位という話を申し上げました。
今ちょっと手元に正確な資料が参りましたので、そこを一言だけ申し上げますと、九州電力が提出したその文献によりますと、これまでに観測されたカルデラ噴火について、噴火直前の約百年程度の間に急激にマグマが供給されたという推定がある、こういうようなことが一つありまして、先ほど十年単位、百年単位と申し上げましたけれども、正確には、九州電力の文献によれば、百年程度というふうに言っておりました。

○辻元委員

 それは、九州電力が提示した文献によれば。今までの保安院のときと一緒ですよ。それを審査するのが規制委員会じゃないですか。九州電力がこういう文献を提出しているけれどもそれは正しいのか。万一のときに、一番最悪のケースのときにどういう対応をさせるか、具体的な案を、火山について、燃料棒を緊急輸送するというならばどこにするのかということも含めて、いついつまでに決めなさい、そうじゃないと認められませんよというのが規制委員会の姿勢じゃないですか。
九州電力の文献をうのみにして、委員長は火山の被害は大きいと言いました、それを確認する、確信を持つという作業はしていないんですか。いかがですか、委員長。委員長にお聞きしているわけです。

○田中(俊)政府参考人

 先ほどのお答えの繰り返しになるかもしれませんけれども、川内原発の運用中にカルデラ噴火が起こる、要するに、火砕流があの地域に押し寄せるような状況はないだろうという判断をしておりますが、念のためにきちっとモニタリングをして、仮にそういった状況が、予兆が見えた場合には適切な対応をとるということでございます。
いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、先生御指摘のように、そういったことはできるだけ事前に準備をしておくということも大事なことだろうと思っております。

○辻元委員

 この川内原発は、そもそも、五つのカルデラに囲まれて、火山のリスクが世界じゅうで一番高いと思いますよ。もともと設置基準が甘い時代に、普通であれば、厳しい基準であれば、こんなところに原発が建てられないというところに建ててしまっているわけですよ。建ててあるから、それを何とか、再稼働の申請も出ているから審査しなきゃいけない。
委員長にお聞きします。
このような立地条件、五つのカルデラに囲まれて、かつての大噴火で九州一円が大きな被害を受けるという場所に、新しい原発を立地したいといったら認めますか。どうですか。

○田中(俊)政府参考人

 先生が今御指摘のような条件というのが、やや仮定に基づいているので何ともお答えしようがないので、やはり、その場合には、そういったことも含めてきちっと考慮した上で審査をして判断することになるだろうというふうに思います。

○辻元委員

 先ほど、かつて大きな被害があったと。もうそれだけでここは立地不適切なところに、甘い基準時代に建ててしまった。その川内原発を一番最初に審査して、では、もしも大爆発があったら、避難計画の中身はどうかというと、いや、九州電力がこんな文献を持ってきました、それを基準に判断をしていますと。何のために規制委員会をつくったのか。
これだと、この避難計画というか対処方針も含めて、絵に描いた餅ですよ。それで太鼓判を押していると言わざるを得ないですよ。
では、仮に、火山の噴火等も含めて災害が起こったときの避難についてはどうなのか。これをもう一点お聞きしたいと思います。
今回、川内原発から三十キロ圏内、これは、かつての噴火だと火砕流も届いているところ。また、地震や他の自然災害による災害が起こったとき、要援護者、特にお年寄りや病人の搬送が非常に難しいです、その避難。
今、この鹿児島県の三十キロ圏内の、十キロから三十キロの範囲のそれら施設では、どれぐらい避難計画は立てられているんですか。

○黒木政府参考人

 お答えいたします。
要援護者施設のうち、医療機関ですけれども、五キロメーター圏内に一、五から十キロ圏内に一、十から三十に八十三、合計……(辻元委員「十から三十で」と呼ぶ)十から三十に八十三施設の合計八十五施設ございますけれども、医療機関について申しますと、この二施設につきましては避難計画が策定されております。残りの八十三施設の十から三十キロメートル圏内については、現時点においてはされておりません。
次に、社会福祉施設につきましては、川内原発から五キロメーター圏内に六、五から十には九、十から三十には百四十四施設、合計百五十九施設ございますけれども、同じく、十キロメーター圏内の十五施設につきまして避難計画は作成されておりますけれども、残りの百四十四施設については避難計画は作成されておりません。

○辻元委員

 残りの十キロ圏内以外の施設、これは福祉関係の施設ですが、策定されていないという現状なんですね。
そして、さらに、鹿児島県の知事が、先日、十キロまでは作成します、私はそれで十分だと思っているんですね、三十キロまでの要援護者の避難計画は現実的ではありませんと知事が発言しているわけです。
政府にお伺いしたいんですけれども、三十キロ圏内までの要支援者については、知事が言うように、現実的ではないし、必要ないというので政府はよろしいんですか。

○黒木政府参考人

 鹿児島県によりますと、十キロメートル以遠のUPZの要援護者施設の避難先につきましては、県が避難先施設を調整する仕組みを整備し、これによって対応することを基本とすると伺っております。
これは、緊急時の対応の柔軟性を確保する観点から、複数のUPZ施設について複数の避難先候補を準備しておく、そういう方法でございまして、避難を要する施設の入所者数が一定ではない、また避難先の状態も一定ではないという中で、要援護者施設の避難について、それを適切に行うためには十分合理的な対応であると考えております。
すなわち、十キロメーター圏内、五キロメーター圏内もそうなんですけれども、そこにつきましては、きちんと一対一対応で、一対一というか一対多対応でも十分な避難ができるような形での体制は組んでおります。
問題は、十キロメーター以遠というのは大変多くなります。その際に、一対多あるいは一対一の対応の計画をつくったところで、現実問題としてそれはワークしないであろうというのが一つの判断であろうと思います。
その際には、御案内のとおり、UPZの避難でございますので、若干時間的余裕もあるということもありますけれども、その際は、どこの施設に入ってほしいということを鹿児島県の方で緊急に調整する仕組みをつくるというふうな形で対応する、事前には一対一対応はしないというようなことだと思っております。
以上であります。

○辻元委員

 今、事前にはしない、緊急にとおっしゃいましたが、では、事故が起こってから対応するということですか。それで県はよろしいというのが政府の認識ですか。

○黒木政府参考人

 避難計画といった場合には、恐らく二つの要素があると思います。つまり、避難単位と、その避難するところがどこに行くかという問題、この問題が一つ。二つ目が、それに伴って、例えば、そういった施設から、要するに、一体県のどこに連絡をするんだというふうなこと。そういった問題、二点があると思います。
第一点目に関しましては先ほど説明したとおりでございまして、それについて、事前の段階で、そういう形の一対一の対応を一〇〇%求めておくということ自体が必ずしも合理的ではないというようなことも言えようかと思います。
と同時に、後者の問題、つまり、誰がそういった緊急の事態に、誰に一体連絡して調整してもらうんだという仕組み、この仕組みというのはきちんと整備しなきゃいけない、これは事前にやらなきゃいけないというふうなことがあります。要するに、そういった意味での調整のメカニズムを事前に整備していただくといったところが、国がお願いしておるところでございます。

○辻元委員

 三十キロ圏まで広げると要援護者は一万人いるわけですね。ですから不可能だろうということですね。いかがですか。

○黒木政府参考人

 その点について鹿児島県の方といろいろ協議しておるところでございますけれども、基本的には、その点については、鹿児島県は乗り切れるという判断をしております。

○辻元委員

 その根拠は、乗り切れる。
乗り切れると言っているので、政府としてはそれを了とするのか。それとも、政府は判断する立場にないから、鹿児島県がそう言っているし、三十キロ圏内まで具体的な計画は立てるのは無理だろうというのもよくわかるので、まあいいやということですか。政府はどういう立場にあるんでしょうか、アドバイスする立場ですか。

○黒木政府参考人

 政府の立場というのは、御案内のとおり、原子力災害対策指針、これは原子力規制委員会がつくっております。要するに、そことの整合性という問題が一個あると思います。
そういった面からいうと、今の鹿児島県のスキーム自体、よくよくお話を伺いますと、今申し上げたとおりでございますけれども、なかなか、一対一対応でつくったところで、その一対一対応が現実に実現できる可能性は、これははっきり言って、原子力災害でございますので、どういうような形で展開するかわからないといった面もあります。そういうので、一対一対応をつくったところで、恐らく実現できない可能性も強いであろうと。
現実問題、今、PAZの圏内におきましては、一つの施設に対して、その収容者に対して、かなりの余裕を持った形での避難先を用意しております。
では、そういった形を三十キロメーター全体にできるかというと、なかなかそれは難しいということ。それをやったところで、恐らくまたいろいろと動かさなきゃいけない、調整しなきゃいけないという話が出てきますので、そういったことを考えた場合には、鹿児島県さんが言うように、それができるという前提は、恐らくそれは、話を伺う限りでは、コンピューター等々のシステムでそれはマッチングが十分可能であるという話でございましたので、それはそれで了としたところであります。

○辻元委員

 停電する可能性は十分あると思いますよ。
それに備えをしていたとしても、福島のときに、要援護者の避難について死亡者も出ています。そして、これが一番難しいオペレーションだったんですよ。だから、それはやはり難しくて、混乱しているから、県がそのときになったら対応する、コンピューターシステムなどを使って、これでは全然、三十キロ圏内の人たちに対する、特に要援護者に対する避難計画が立てられている、政府は立てろと書いてあるわけですよ、そういうルールになっていますよね、その入り口にも入っていないと私は思います。
そんな中で、特に川内原発につきましては、周辺自治体から、住民の半数が、避難計画、特に三十キロ圏内まで心配だと、これは当たり前だと思うんです、住民からとれば。福島の混乱を見て。そして、いや、それは現実的に不可能だからということを今、知事がおっしゃっただけでもびっくりしましたが、政府もそういう方針という中で、周辺自治体の住民の半数以上が、避難計画を立てるまで再稼働を認めるべきではないという声が上がっていますよ。
きょうは政務は赤羽副大臣がお越しになっていますけれども、私は、今の答弁みたいなもので再稼働に進んでいく、そして、半数の人たちが、この三十キロ圏内の市町村で避難計画を立てるまでは再稼働を見送ってくれ、少なくとも住民が納得する計画が立てられるまで、この声は非常に重いし、私もそのとおりだと思いますが、今みたいな、いや、混乱するかもしれないしできない、しなくても仕方がないかなみたいな答弁で、赤羽副大臣、いかがですか。私は再稼働すべきでないと思いますよ。

○赤羽副大臣

 まず、再稼働についての政府の基本方針、よく御承知だと思いますが、四月十一日に閣議決定をいたしましたエネルギー基本計画に明確に書かれておりまして、独立した原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合については粛々と再稼働を進めるということが基本的には大方針でございます。
ただし、もちろん福島第一原発という大変な教訓を得たわけでございますので、そうしたことから、再稼働に当たりましては、今御指摘のありましたように、立地自治体等の関係者の理解を得ることが重要なことは、もちろん私もそう思っております。
ですから、説明につきましては、国としてもしっかりと説明をしていくということは当然でありまして、避難計画を含む原子力防災に関しては、内閣府が地元関係自治体としっかり詰めていくべきだ、そして理解を得るべきだというふうに考えております。
以上でございます。

○辻元委員

 粛々と再稼働を進めていくと今おっしゃいましたが、今、審査が終了したらということを、粛々とやっていくと。
どういう手順でやるんですか。最終的に誰がどう判断するんですか。政府それから関係自治体というのはどこまでの範囲ですか。知事と立地市町村だけでいいとお考えですか。それと、事業者と規制委員会の関係を整理して、どういうふうに進めていくか、説明してください。

○赤羽副大臣

 もちろん、辻元さん、よく御承知だと思いますけれども、法のたてつけ自体でいうと、原子炉等規制法では、事業者の判断で再稼働することは可能な仕組みとなっているわけでありますが、当然、電気事業者でも、政府や地元の自治体の関係者の皆さんの御理解なしに再稼働しようなんということは全く思っておりません。
でありますが、政府のエネルギー基本計画の基本方針は、先ほど御答弁申し上げたように、新規制基準に適合すると認められた場合には原発の再稼働を進めるということを国の方針として明記しているということでございます。
そして、その再稼働に当たって、やはりまずは立地自治体、当該自治体の関係者、またそこに住む住民の方に御理解をいただくように、先ほどちょっと申し上げましたが、原子力防災に関しましては内閣府が、また、今回の適合審査の結果に関しましては原子力規制委員会が、そして、それ以外に、原子力を含む我が国のエネルギー政策に関しては経済産業省が、それぞれ責任を持って御理解いただけるように精いっぱいの努力をしていくということでございます。

○辻元委員

 自治体の関係者とおっしゃいましたが、関係者はどの範囲ですか。三十キロ圏内の市町村の長は入りますか。市や町の長は入りますか。

○多田政府参考人

 お答え申し上げます。
先生御承知のとおり、立地自治体の同意につきましては、法令上は原発の再稼働の要件とはなってございませんが、今赤羽副大臣から御答弁申し上げましたとおり、再稼働に当たりまして、立地自治体等の関係者の理解を得ることが大切であります。
その説明に当たりましては、地域の実情を踏まえて対応することが大変重要でございまして、理解を得る自治体の範囲や手続などにつきましては、各地の事情がさまざまでございますので、個々に、かつ丁寧に対応することが重要であると考えております。一律に何キロメートルといった形で判断をすることは適切でないと考えております。

○辻元委員

 だから、その三十キロ内の市や町は入っていないということですね。

○多田政府参考人

 ただいまお答えしたことの繰り返しになりますけれども、各地の事情がさまざまでございますので、個々に、かつ丁寧に対応することが重要であると考えております。

○辻元委員

 今、川内が目の前にありますが、先ほど申し上げましたように、市議会で決議が出たり、住民の半数以上が、避難計画もないし、再稼働反対と言っている市もあります。それらは全く意見を聞かないんですか。
赤羽副大臣、いかがですか。原発所管ですよね。どうします。

○赤羽副大臣

 今、三十キロ圏内の五カ所のところで住民説明会も開く予定にしておりますので、そういった方々も含めての理解を得られるように最大の努力をしていきたい、こう考えております。

○辻元委員

 全国知事会が提言でこういうふうに言っています、再稼働については、「国が責任を持って判断するとともに、」ということで、国に判断してほしいと。
結局、再稼働は、最終的には事業者が動かしますとやる。その判断に至る、では再稼働させましょうというのは一体誰だ。自治体の長の同意をとって国が判断をしてほしいと言っているわけですよ、再稼働しますと。かつてのときは関係閣僚会議を開いたりしてきました。再稼働しますと政府や自治体の関係者で最終的に決めるのは誰ですか、赤羽副大臣。知事会はこう言っているわけですよ。これをどう受けとめるんですか。どうするんですか。

○赤羽副大臣

 全国知事会の御提言もしっかり受けとめながら、今までは電気事業者任せですとか関係自治体任せということがあったかもしれませんが、福島第一原発の事故の反省を教訓に生かして、国の責任として行っていきたい、こう考えております。

○辻元委員

 国の責任として何を行うかの、何をの主語を言ってください。(発言する者あり)何をは主語じゃないな、ごめん。

○赤羽副大臣

 国の責任で再稼働を進めるということでございます。

○辻元委員

 再稼働を進めるというのは、国の責任で再稼働の判断をし、そして、していいですよというように進めるという意味ですか。

○赤羽副大臣

 また繰り返しになりますけれども、国は、再稼働を進める前提に当たって、先ほど申し上げましたように、原子力規制委員会によっての新規制基準に適合すると認められた場合でございますので、その前提なしに国が勝手に国の判断でということではございませんので、誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。

○辻元委員

 進める条件は適合だけですか。避難や地元の同意を含めて、総合的にコンダクターがいますよね。これは、再稼働に進めるという最初の案件で今進んでいるわけです。私は、先ほど、火山やその他のこと、避難計画を申し上げて、こんな状況でするべきではないと思っていますが、国がトータルに判断して、これは再稼働だと決めるんですか。
要するに、責任のなすりつけ合いみたいなものをやっているわけですよ。安倍総理は、きのうも広島で発言しています。世界で最も厳しい安全基準にのっとって規制委員会が審査している、安全との結論が出れば再稼働を進めたいとか、菅さんは、いや、再稼働は電力会社の判断だとかですね。
また、自治体の長は、この鹿児島県の知事は、国に、文書で、再稼働が必要だから動かしてほしいという文書を出してくれと言っています。これを言ってきているはずなんですよ。これはどう対応するんですか。
ですから、それぞれが、規制委員会は、後でちょっと最後に委員長にも聞きますが、いや、安全だとうちは太鼓判を押したんじゃないよと。では国は、いや、安全だと言っているから進めるんだ。今度さらに菅さんは、いや、事業者だろう。これで、政府が逃げの姿勢を打っているじゃないかと言われているわけですよ。いかがですか。

○赤羽副大臣

 今の官房長官の御発言ですとか安倍総理の御発言が、どのような状況の中で、どういうフレーズの中で語られたものか承知をしておりませんので、私はそれについて言及はできません。(発言する者あり)私は承知していないからそうでありまして、まず、鹿児島県知事を初めとする関係者から、エネルギー政策上の原子力の位置づけや必要性について、文書を含めた何らかの方法で政府の方針を明確にしてほしいという依頼を受けていると承知をしております。
このことにつきましては、先ほど冒頭御答弁申し上げましたように、閣議決定をしたエネルギー基本計画に明記をしているところでございますが、鹿児島県知事を初めとする関係者からの御要望でもございますので、コミュニケーションを綿密にとりながら適切に対応してまいりたい、こう考えております。

○辻元委員

 今もまた、最後になりますけれども、先ほど国が再稼働を決めるんだという趣旨の発言をされて、また適切に対応してまいりたいと。
このことをめぐっては、原子力規制委員長にもお聞きしたいんですけれども、絶対的な世界的に安全というものはないというように発言されていますね、会見などで。

○森委員長

 辻元君、申し合わせの時間が経過しておりますので、新しい質問は御遠慮ください。

○辻元委員

 はい。最後にします。
世界で最も厳しい安全基準にのっとってやっている、これも違うと言っていますよね。ですから、川内原発についても絶対に安全だと言い切れないわけですよね。その点だけ確認したいと思います。

○森委員長

 田中委員長、答弁は簡潔に願います。

○田中(俊)政府参考人

 はい。
今回の規制基準は、福島第一原子力発電所の事故を踏まえて審査指針、基準をつくりました。それに適合しているかどうかということを判断したわけでありまして、相当量リスクは低減化されていると思いますけれども、絶対安全だということは、これは、いわゆる安全についての、常日ごろ向上させなきゃいけない、そういうものを阻害することになりますので、そういうことは申し上げておりません。

○辻元委員

 答弁をお聞きしましたが、納得できません。
最後に、総理も発言されています。官房長官の答弁だからわからないとおっしゃいました。ですから、総理、鹿児島県知事、そして原子力規制委員長、さらには九州電力などステークホルダー、関係する人を、一堂に会して、やはり本委員会は非常に重要な役割を担っています、これでもしも事故なんてことになったら私たちも責任を問われかねませんので、閉会中ですけれども、一堂に会した委員会を開いていただくようにお取り計らいをお願いいたします。それで終わります。委員長、よろしくお願いします。
委員長、何か言ってくださいよ、理事会で協議してもらうように。さっき言っていたじゃないですか、自民党の方には、理事会で協議しますと。

○森委員長

 後刻理事会で協議いたします。

○辻元委員

 終わります。