つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

東北が底力を発揮し始めた――地元NPOと行政との連携が進んでいます

2011.7.29

国会ブログ

震災から4カ月、被災地での復興の動きに、ひとつの重要な特徴が見え始めた。
それは、NPOやボランティアが急速に力をつけていること。とくに、地元のNPOが頑張って、力を結集するシステムが生まれていることだ。
現在までに被災地では、登録されているだけでおよそ60万人のボランティアが活動した。阪神淡路大震災のときに比べボランティアの数が少ない、と報じられることもあるが、甲子園口から歩いて被災地に入れた阪神淡路のときとはアクセスの難易度がぜんぜん違う。岩手などは、ボランティアの基地になっている遠野から沿岸部まで、車で2時間もかかるのだ。私はむしろ、あれだけの移動時間とお金をかけてリスクを承知で多くの人たちが「助けあい」をしたことに希望を感じる。
岩手県・宮城県・福島県の災害ボランティアセンターに登録し活動を行った人数
この数は、自衛隊に次ぐ「復旧部隊」だったといえる。
泥かきはもちろん数万枚におよぶ写真の洗浄など、山積みだった「人手をかけてやるしかない作業」が大きく前進した。その結果、被害が大きく「いくらでも人が来てほしい!」と訴えていた石巻のボランティアセンターでは、個人ボランティアが大量に必要な作業が一定終わったとして「今後の県外ボランティアはグループに限る」という方針を打ち出したほどだ。もちろん地域によって状況は様々だけれど、ボランティアのみなさんの力が復旧に向けて大きく働いたことは間違いない。
何より今回のボランティアの特徴は、NPOやボランティアと行政との連携に大きな進歩が見られたことだ。これは、阪神淡路大震災では考えられなかったこと。
岩手県では当初、地理的な条件などもあり、連携をどのように進めていくかで試行錯誤がくりかえされた。いまは地元のNPOがどんどん自治体や企業との連携を進め、全仮設住宅の調査を請け負ったり、広域での「祭り」を準備したりと活動の幅を広げている。全国を飛び回って岩手の現状を訴えたり、神戸の経験を取り入れようとネットワークを作ったりもしている。それを、自治体との協議にもちこんで復旧活動に活かしているのだ。
27日、私は岩手で「東日本大震災津波ボランティア連絡会議」の初会合に政府代表として参加。県内外のNPOや沿岸市町村の復興に関わるメンバー、自治体職員などが参加して支援のあり方を協議した。見渡すと、震災直後から直接顔を合わせ、日頃から電話で連絡をとりあってきたメンバーがズラリ。地元自治体の官僚が「NPOといっても、最初はピンとこなかった。いまでは、NPOやボランティアなしで復興はできない」と言い切る。
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原発事故を抱える福島も、NPOと自治体との連携がようやく形になりはじめた。20日・21日と私は福島を訪問。副知事と協議を行い、「ボランティアツアーを積極推進する」と私。「行政とNPO、ボランティアとの連携を深める」と副知事。復旧のために力を合わせよう、と握手した。仮設住宅のケアを行う「うつくしまNPOネットワーク」と意見交換し、福島大学での福島連携復興センターの設立会合に出席した。
宮城県では当初から「ボランティア団体(ボランティアセンター、NPO、NGO)・国・県・自衛隊」の被災者支援四者連絡会が立ち上がった。炊き出しや物資配布、女性や子どものケアなどさまざまな課題を現場で話し合われた。これに呼応するように石巻や気仙沼などでは、「ボランティア団体・市・自衛隊」の支援協議の場ももたれている。さらに気仙沼では大小合わせて30近い団体が、ときに情報交換しながらよってたかって支援を行っているが、こうした動きは阪神淡路のときにはなかったことだ。
気仙沼市で復興支援活動中のNGO・NPO・ボランティア団体
力を合わせてまいてきた種が、ようやく花開き始めた。その中心になっているのが、地元のNPOだ。当初は県外からの個人ボランティアの受入も「ボランティアコーディネーター不足でできない」と前向きでない地域が多かったが、NPOを中心にどんどん力をつけ、県外ボランティアの受入が進んでいる。岩手県立大の先生が中心となって立ち上げた「いわてGINGA-NETプロジェクト」では、ボランティアにくる学生のための宿泊施設も準備した。また政府の緊急雇用対策予算を活かして生活支援相談員が百数十名も東北に配置され、活動を始めた。いまや仮設住宅の見守りなども地元のNPOが重要な役割を果たしている。
瓦礫の撤去やハードの部分の復興は、これからどんどん進んでいくだろう。同時に心と絆の復興ができて本当の復興になる。それを担うのがNPOやボランティアだ、と私は現地の会議で訴え続けている。そう、一人の力は微力だが無力ではないのだから。
東北が底力を発揮し始めた、と私は感じている。
災害ボランティアセンター・復興支援センターの設置数
NPO等/ボランティアによる仮設住宅における生活支援について
三県の状況について